台湾進出の第一歩は何かというと、社名や事業内容の予備調査であるという手続上の共通認識がありますが、当該予備調査は難易度が非常に低く、台湾人が行う会社設立の手続きとも通じるものなので、難易度が比較的に高い、かつ台湾人に馴染みのない「外国人投資許可の取得」が台湾進出における最初のハードルと言っても過言ではありません。

予備調査の次に必要とされるのは、法人設立なのではとよく勘違いされていますが、実際、先に外国人投資許可を入手しないと、法人設立の許可が下りない仕組みとなっています。

外国人投資許可とは?

日本人を含めた外国人が台湾で法人を作ったり、台湾の会社に出資したり、台湾の会社に1年以上の貸付を行おうとする場合は、予め経済部(日本の経済産業省に相当)が設立した投資審議委員会に対して許可を取得することが要求されています。審査のポイントは、主に台湾で展開しようとする事業に、国家安全や公共秩序、公序良俗を脅かしたり、国民の健康を害したりする事業、若しくは法律に禁止されている事業であるかどうか、出資の種類は機械設備若しくは原材料、特許・商標・著作権・専門技術その他知的財産権、現金のどちらに該当するか、現金出資であったら海外送金なのか現地で台湾ドルからの直接投資なのか、といった面において当局より審査が行われます。

外国人投資許可を取得するメリット?

まず、本件の許可を取得できないと、台湾国籍を有していない人は台湾で会社を作ったりすることができない、という点はメリットというより、台湾進出における義務と言った方が適切かもしれません。外国人投資条例に書いてあったメリットは、例えば本件許可を取得すると、投資先/貸付先会社から支払を受ける利息収入、配当金等を外貨に換えられたり、持ち分の譲渡で得たキャピタルゲインや減資による資本の払い戻しをもって外貨に換えられたり、持ち分が45%未満で政府に買収されることで得た補助金を外貨に換えられたり、会社法に定めのあった制限の一部緩和、例えば会社の監査役に台湾国内の住所を要求しない、及び現金増資の際に、一部の新株を従業員に引き受けさせなければならない制限がなくなるという、台湾人では享受できない優遇策も盛り込まれています。

外国人投資許可を取得する流れは?

所定書類を出して、2~4週間(Covid-19の関係で審査期間が予定より長くなる場合があります)を待てば、審査当局から勝手に許可通知書が送られる、という風に簡単にまとめることもできますが、実は、所定書類の作成にミソがございます。台湾に支店を有する法人、又は台湾の居留証(日本の在留カードに相当)を保有する個人であれば、自ら申請を行うことができますが、初めて台湾の進出を図ろうとする法人又は居留証を持たない個人は、原則として台湾の弁護士か公認会計士、若しくは単なる台湾籍を有する個人に委任し、申請を行ってもらわなければなりません。ですから、最初の一歩は申請代理人を探すステップとなりましょう。気性が合う代理人が見つかったら、申請要件を満たすことを証明可能な資料や情報を代理人に提出し、代理人に投資計画を含めた申請書類を作成してもらい、作成できた書類を当局へ郵送してから、審査結果を待つのみとなっています。審査に要する時間を審査当局が公表した下記の表はご参考いただけます。

出典:経済部投資審議委員会のHP

申請に必要な書類にどういったものがある?

個人投資の場合、個人の身元が分かる書類がまず必要となります。一番の王道はどちらかと言えば、やはりパスポートのコピーとなりましょう。待って待って、海外へ行ったことないんで、パスポートを持っていませんよ、のような方でしたら、代わりに別途認証手続きが求められる、国籍を証明できる書類の提出も可能です。別途経費がかかる認証手続きの面倒さを考慮し、パスポートを入手したほうがよほど簡単かもしれません。しかも会社を作ることとなると、これからは無人会社で事業展開しようと考える方であっても、会社設立後の初期段階においては、一回ぐらい台湾出張を行う必要性があったりしますので、一度に10年間有効のパスポートを入手することがお勧めですね。代理人経由の申請だと、別途代理人への委任状(下記画像)を提出する必要があり、しかもこちらの書類に対しては公証か認証の手続きが義務付けられていますので、出来上がるまで少々時間がかかります。その他には、本稿の冒頭に言及のあった予備調査で入手可能な審査結果通知書、及び一番手間ひまかかる申請書があります。投資許可を取得したら、同審査先に対して資本金の入金審査にかかる申請も行わなければなりませんが、別稿にて内容を紹介する予定なので、本稿は投資許可取得の内容にフォーカスさせていただきます。

出典:経済部投資審議委員会のHP

外国人投資許可の取得を含めた、会社設立ができるまでの流れを教えてほしい!

ここまでの説明では、外国人投資許可に関する大まかな内容はある程度分かっていただいたかと思いますが、全体的な流れにおける外国人投資許可の位置づけはどんなイメージなのかを知るためには、下記当局のHPにて掲載されているフロー図をご参考お願いします。

出典:経済部投資審議委員会のHP

台湾に支店がなく、居留証も持っていない、なおかつ、バージョン変え後の申請書がややこしくて作成できるわけがない!と悩んでいらっしゃっているようでしたら、マサヒロは喜んで、台湾進出最初の一歩の手助けをさせていただきます。餅は餅屋。台湾起業に一度限りの手続きに頭を悩ませるぐらいなら、信頼できる専門家に任せて、それで浮いた時間をもって台湾での事業展開に注いでほしいものですね。ご連絡をお待ちしております!

Attention!

※こちらの文章は2021年7月11日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。