【ワンちゃんやネコちゃんを台湾に同伴させる場合は、1年前から準備しなければならない?!】ペットの台湾輸入について
ボールは友達、ペットは家族。家族帯同で台湾に長期滞在しようとするならば、ヒューマン家族に必要とされる家族滞在ビザと居留証を用意するほか、アニマル家族もいたら、台湾に輸入するための要対応事項もこなさなければなりません。
ウチのワンちゃんを台湾へ連れてきたのに1年もかかったよ~
のような話を一度ならず聞かされましたが、配偶者の台湾健康保険カードを入手するまでは1ヶ月もかからないのに、ビザも居留証も要らないペットには1年もかかる?と訝しげに反応するかもしれません。
果たして、1年もかかると噂されているペットの輸入手続は何なのか、ペットの通関に伴う税金の話を含め、ペットの台湾輸入に関する大まかな手続及び要注意事項を、分かりやすく解説してまいります!
目次
ペットを台湾に輸入できる動物は3種類だけ?!
一番ポピュラーな犬と猫のほか、鳥、鹿、ラクダ、カンガルー、パンダ、キツネ、ハリネズミ、ハムスター…などの動物は、きちんと所定の手続をこなせば、ペットとして台湾に輸入することができるため、輸入可能なペットは3種類のみとの制限はありません。
いわゆる「3種類説」というのは、飼い主と同伴して通関できるペットに、犬、猫、ウサギといった3種類の動物に限定され、その他の動物は航空貨物として、飼い主と別の航空機で輸送しなければならない、というルールから来たものかと考えられます。
また、台湾の通関手続とは別に、ペットを直接機内に持ち込むことが可能か、それともチェックイン時に手荷物預かりカウンターでペットを預ける必要があるか、とにかく航空機に乗せてもらえないペットは何なのかを、予め利用しようとする航空会社に問い合わせのうえ、関連情報を押さえる作業も必須です。
ペットの台湾輸入にまず最初は何をしたらよいか?
日本から台湾に連れて行こうとする動物の種類によって、要求される手続が若干異なるので、以下は犬と猫を例に説明を進めていきます。
まず、ペットの身分証である15桁のマイクロチップが装着されているのと、狂犬病不活化ワクチン接種を受けて中国語版または英語版の接種証明書を入手することです。ワクチン接種の有効期間は1年なので、最近1回の接種日時と台湾輸入日との間に1年を超える間隔が空いたら、ペットに再度接種を受けさせなければなりません。冒頭に言及した「1年もかかった」との説は、おそらくこの辺からきたものかと思われます。
留意点としては、ペットに受けさせるワクチンは、狂犬病不活化ワクチンまたは台湾政府が別途許可したワクチンにする必要があるほか、接種のタイミングは、ペット生後満90日以降であることも確保しなければなりません。そのため、生まれて90日未満の子犬と子猫は、原則として台湾の輸入は禁止となっています(犬猫輸入検疫条件第4条)。
航空券の購入
飼い主の航空チケットを購入する代金とは別に、ペットの同伴は大体別途料金がかかります。しかし、料金額とは関係なく、ルール的にはペットの搭乗を最初から不可にする航空会社もあるため、事前にペットの同伴に関する各種ルールを確認することは必須です。
ペット同伴が可能な航空会社のルールを確認する際に、前述べた、手荷物預かりカウンターでペットを預ける必要があるかは勿論、搭乗可能なペットの年齢や体重の制限、一度に搭乗可能なペットの数量、搭乗不可なペットの品種、使用可能なペットのキャリーバッグ、いつまでにどういった書類を航空会社に提出必要かなど、細かい条件についても漏れなく確認しておくことがベストです。
台湾輸入日20日前までに
上記ウォーミングアップ的な手続ができたら、ペットの台湾輸入日20日前までの間に、飼い主は以下の書類を提出のうえ、主務機関に対してペットの輸入検疫同意書を申請する必要があります。
犬猫輸入検疫条件第5条
- 身元を証明できる書類
- 獣医師が発行した中国語または英語版の狂犬病ワクチン接種証明書
- 台湾の関連機構が発行した輸出検疫証明書(180日以内台湾に再輸入する場合)
この同意書はオンライン申請でも入手可能であり、郵送申請は不要です。
なお、前述の同意書を取得してから、ペットの台湾輸入日に変更せざるを得ない事情が生じた場合、最初に許可された期限を超えていなければ、輸入日の修正申請は可能です。
日本を出る前に
台湾へ出発する前に、日本の関連当局に所属する獣医師が発行した、中国語または英語で記載される動物検疫証明書を入手することも忘れてはなりません。
当該証明書には、ペットの品種(ワンちゃんまたは猫ちゃん)、数量、性別、年齢、マイクロチップ番号、輸出国、輸出者の氏名など基礎情報のほか、狂犬病の臨床症状の有るなし、ワクチンの接種日とブランド名、台湾輸入前180日までの間、もしくは生まれてからずっと日本で飼われているかどうか、そして発行日、発行機関、発行者などの情報を明記しなければなりません(犬猫輸入検疫条件第6条)。
台湾到着時
台湾の空港に到着したら、空港に配属される動物検疫機関に対し、以下の書類を提出し、ペットの検疫申請を行う必要があります。
犬猫輸入検疫条件第8条
- ペットの輸入同意書
- 日本で入手した検疫証明書
- 運送業者の船荷証券または税関申告書
検疫の審査に合格すれば、現場で許可書が発行され、ペットの台湾輸入が正式的に認められる形となります。
一方、動物検疫機関の審査で、マイクロチップがペットに装着されなかったり、書類の要記載事項に不備があったりするなどの状況があったと認められたら、飼い主が費用を負担のうえ、ペットを日本に返送するか、ペットを指定された隔離施設に入れるか、最悪の場合、殺処分が下されるリスクもあるため、日本を出る前に、しっかりと要対応事項をこなしておきましょう(犬猫輸入検疫条件第9条)。
ペットの通関に税金がかかる?!
ペットは商品でもなければ、物品でもないので、税金は関係ないやろ!
と直感的に考えたりします。
しかし、台湾のルールでは、一定の免税範囲を超えたペットを台湾へ輸入させる場合には、税金の納付義務が発生する可能性がある点は留意が必要です。
既に使用していた身回品(タバコとアルコール類を含まない)で1件当たりの課税価格が1万NTD以内、及びこれから使用しようとする身回品(タバコとアルコール類を含まない)の合計課税価格が2万NTD以内の、ビジネス目的以外の携帯品は、原則として免税となるが、同伴するペットがこの免税範囲を超えたら、所定の税率に乗じて計算した関税を納付必要となります。
数年前、ネットでは次のような事例が報告されました。
猫ちゃん2匹を連れて台湾へ輸入しようとしたら、税関の担当者からは一人に付きペット1匹の同伴は無税だが、2匹だと税金を支払ってもらうので、猫の価格を教えろと言われ、道端で拾った野良ネコなので、価値がないよ、と答えたら、そうすると約2,000NTDの関税を支払ってください、納税しなければ猫を留置するしかないと説明。長らく交渉しても結論が出ておらず、動物検疫を担当する人が助け舟に入って、2匹の猫ちゃんはもともと台湾から出国し、今回は再入国だ、という事実を示すための資料を税関の人に見せて、ようやく一件落着という。
ペットに税金がかかる可能性があるルールの存在は、そもそも知る人が少なく、かつ言葉的な問題もあって、例え必要な法的書類を全て完璧に揃えたと言っても、運が悪ければ、ペットの輸入に必要とされる最後のステップでトラブルが起きてしまうリスクもあります。気を付けておきましょう。
狂犬病清浄国の該当性について
日本は、その他9ヶ国とともに狂犬病清浄国(狂犬病が発生していない国)にリストアップされているため、日本からのペット同伴は、原則的に通常手続を行えば結構です。ただし、ペットは飼い主と世界を転々と旅したり、生まれた故郷は日本でなかったりする場合も考えられるので、いわゆる「狂犬病清浄国からのペット同伴」に該当する条件を次のように定められました。
犬猫輸入検疫条件第3条
- 生後180日未満の場合、生まれてから継続的に狂犬病清浄国に飼われていること
- 生後満180日の場合、台湾輸入日の180日前までの間に、継続的に狂犬病清浄国に飼われていること
- 台湾から出国して再輸入するまでの間に、継続的に狂犬病清浄国に飼われていること
狂犬病清浄国以外の国からのペット同伴は、台湾輸入時に、今まで共有した通常手続のほか、ペットに血液の抗体検査を受けさせたり、空港に到着したら指定された検疫所で隔離を受けさせたりなど、その他煩雑な手続も要請されています。念のため、上記の条件に合致しているか事前にチェックしておきましょう。
今週の学び
家族を台湾に呼び寄せるためには、それなりの手続を一通りこなせば、大体問題なくクリアできます。近年において立て続けに発表されている居留関連の優遇措置により、家族の在留資格を取得するハードルが下がる一方です。それに引き換え、家族同然のペットを台湾に連れてくるのに、半年ないし1年前から輸入関連の手続に取り掛からなければ、間に合わない可能性が十分にあります。外国から専門人材の移住を誘致する奨励策に、ペットの同伴に関する輸入手続の緩和策も加えれば、案外効果的かもしれませんね。