【詐欺に遭ったらまず何をしたらよいのか、どうやったらお金を取り戻せるのか?】―詐欺被害の対処法を徹底解説!

【詐欺に遭ったらまず何をしたらよいのか、どうやったらお金を取り戻せるのか?】―詐欺被害の対処法を徹底解説!

大手SNSにて、信じられないほどの安い値段で、5秒で売り切れたライブチケットをネットユーザーから購入し、代金を当日振り込んであげた後、急に連絡がつかなくなった…

ネットショッピングで間違った設定を入れたので、指定のURLをクリックして設定変更しなければ、取引が成立しない、と顧客サービスの担当者から電話で言われ、急いでSMSにあったURLにアクセスし、言われた通りの操作を行ったら、銀行口座の貯金が一瞬でゼロになった….

会社から支給を受けた数10万NTDのボーナスを銀行に預けっぱなしにしても二束三文の利息しかもらえないから、積極的に資産運用しようと思って、ネッ友が紹介したLINEグループに参加し、グループメンバーから「先生」と呼ばれた人にボーナスを全額任せて、保証される10%のリターンを1年待っていたが、1%も入金されていなかった代わりに、追加投資をしないと元本も保証できないと言われた…

以上は、台湾でまん延する詐欺事件の基本事例に過ぎません。星の数だけ詐欺の類型が存在すると言っても過言ではないかもしれません。

この間、台湾の大手企業がハッキング被害を受けた報道が相次いでおり、ただでさえ内部から不正に流出される事例が後を絶たないのに、ハッキング事件の影響で、顧客の個人情報が外部からバンバン盗まれています。こういった顧客の個人情報が詐欺集団の手に渡ったら、SNSまたは電話経由の詐欺行為で悪用されてしまいます。

顧客情報を取り扱う企業により強固なサイバーセキュリティ対策を取ってもらうことは勿論だが、一消費者の立場として、不幸にも詐欺に遭ってしまったら、果たしてどう対応すればよいのか、そして騙し取られたお金を取り戻せるものなのかなど、被害者が自らの権利を守るための対応策を以下紹介します。

詐欺行為に該当するか?

詐欺に遭ったら、可及的速やかに適切な対応策を取ること」、というのは、詐欺被害を最小限に抑えるための当たり前の認識です。しかしながら、遭っていたのは詐欺ではないにもかかわらず、詐欺被害のSOPに則りアクションを取ってしまうと、損したお金が帰ってこないところか、訴訟にかかる時間も無駄となってしまうリスクがあります。従って、何かしらの救済措置を行使する前に、自ら遭遇したのは詐欺行為に該当するかどうかを先に判断しておくことは大事です

例えば、大手SNSサイトですごくお買い得な中古家電を見つけて、早速売り手に連絡を取って指示された銀行口座に入金したが、1週間経過しても音沙汰無しの場合、詐欺罪で売り手を訴えたら成立するかというと、売り手に「詐欺の意図」があるかどうかとの点をまず考慮しなければなりません(刑法第339条)。

もし売り手は他社の人気商品を装う「偽造品」または「偽ブランド商品」を、市場価格より著しく低い値段で販売しようとする、もしくは売り手は最初から一切商品を仕入していないにもかかわらず、「現品あり」で販売活動を行い、そして消費者から代金を受け取った後、対象商品を出荷しようとしない、といったケースの場合は、売り手に詐欺の意図があったと認められ、詐欺罪が成立する可能性が高いです。

一方、もし売り手の出荷遅延は、注文が大量に殺到する商戦シーズンに起きた手違い、もしくは商品の物流処理が間に合わないなどの要因によるもので、長い間消費者に連絡を取らなかった理由は、たまたま売り手が外国に短期滞在したり、ひどい病気を患っていたりするなどの不可抗力に起因し、「詐欺の意図」を認められにくいのであれば、売り手の行いは詐欺罪に該当せず、単純な「消費者紛争」となります

従って、詐欺かもしれない被害に遭ったら、それが果たして「詐欺であるかどうか」を冷静に見極めるうえ、次はどのようなステップを取るかを検討することが大事です。

詐欺行為に該当するか?

詐欺に遭ったときの要対応ステップ①

消費者紛争ではなく、明らかに詐欺事件の被害を受けたとする場合、考えられる第一反応は、弁護士へ相談しに行ったり、警察局に出向き被害届を出したりすることです。これらの対応は別に間違っているわけではないが、被害額を取り戻す観点で、比較的有効な方法ではないかもしれません。何故なら、これらの手続きを行っている間に、被害額は既に詐欺集団によって現金として引き出されたか、海外口座などに移されていた可能性が高いからです

被害額を確保するためには、まず最初にやらなければならないのは、台湾政府が2004年に設置した詐欺被害の電話相談窓口である165番です。165番に連絡したら、まず個人情報の確認作業が始まり、それから詐欺集団が利用する銀行の口座番号、被害額、送金の日時や場所情報などの事実確認がなされ、こういった情報確認が済めば相談事案の仮受理が完成したが、会話の中で、相談担当者に対して「相手の銀行口座を一時的に凍結してほしい」と伝えることも忘れてはなりません。

165番に通報する最大のメリットは、まさに最短時間内で送金先の銀行口座を一時的に凍結してもらえる点です。もし被害者はお金が詐欺集団によって引き出されるより早く165番に連絡し、かつ凍結手続きを当局に協力してもらえれば、被害額を取り戻せる確率が高まります。しかし、口座を凍結できると言っても、凍結可能な期間は24時間のみで、凍結額も自主申告した送金額を上限とされるため、24時間以内に次のステップに移す必要があります。

補足ですが、165番では基本的に日本語が通じないので、代わりに165番のHPにて、Google翻訳を使いながらオンライン通報を行うことも一つの選択肢です。電話で通報するより、オンライン通報では比較的細かい情報の書き込みが要求されるため、これから説明するステップ②の実施にかかる時間を短縮する効果が得られます。

詐欺に遭ったときの要対応ステップ①

詐欺に遭ったときの要対応ステップ②

165番への通報を終えたら、直ちに最寄りの警察局へ行って、送金履歴や相手先とのやり取りが分かる証拠資料を添えて被害届を出すことが必須です。一部のケースでは、165番には連絡したが、警察に被害届を出しておらず、結局被害額もそれによって取り戻すことができませんでした。165番への通報はあくまでも「仮受理」であり、警察へ正式的に被害届を出して初めて案件として成立することをきちんと理解しておきましょう

警察に被害届を出す手続きを確実に実施すれば、送金先の銀行口座は要注意口座として指定され、口座の凍結期間も165番通報時の24時間から、調査が終わるまでの間に延長されます。なお、もし165番への通報は当初オンラインで行っていたら、事件に関する基礎情報は予めインプットされていたため、警察局での事情聴取にかかる時間もだいぶ短縮します。

警察局での手続きが終了したら、担当する警察官から被害届受理証明書を渡されます。送金先銀行から被害額を受領するにはこの証明書が必要不可欠なので、事件の調査が終わるまでしっかり保管しておく必要があります。

詐欺に遭ったときの要対応ステップ②

詐欺に遭ったときの要対応ステップ③

このステップにルート分岐が登場します。

もし165に通報するタイミングが早く、かつ同事件にその他大勢の被害者が存在していないのであれば、警察に被害届を出して数か月後、警察局または地方検察署から通知書(不起訴処分通知書など)が届きます。同通知書並びに被害届受理証明書、身分証その他資料を銀行へ持参し、所定の書類を現場で記入・提出した後、銀行側での審査が始まります。そして2~3ヶ月を待っていたら、長らく迷子になっていたお金が帰宅し、めでたしめでたしです。

しかし、全てがうまくいくわけがない、というのは世の常です。実務的には、口座が凍結される前にお金が既に詐欺集団に引き出されたり、同じ詐欺事件の被害者は大勢いるけど、詐欺行為として使われた銀行口座にあった残金が被害総額を下回ったりするなど、SOP通りの救済措置を行っても被害額が返ってこない詐欺事件がザラなのです。その場合、ステップ③を実施しようがないため、次のステップに踏み切るかを検討していただけます。

詐欺に遭ったときの要対応ステップ③

詐欺に遭ったときの要対応ステップ④

被害届を出したものの、担当の警察官から、銀行に確認したら、送金先の銀行口座にはもう残金がないよ、と言われる場合があります。なるほど、それじゃしょうがないね、と潔く諦めたら、こそで試合終了です。確かに、突き付けられた現実を考えると、お金を取り戻せる可能性が極めて低いと言わざるを得ない現状なんだが、努力と根性にかければ、18点の大差もあったフィンランド戦のように、第4クオーターで一気に逆転できないとも言い切れません。

例えば、詐欺の加害者との通話やSMS記録、またはSNSにあったチャット履歴を丁寧に保存し、かつ加害者の個人情報をある程度把握できれば、警察に被害届を提出する段階で、詐欺罪で同人を訴えることができます。その後の取り調べで、前科がつくのが嫌な加害者と和解できれば、早期に加害額を返金してもらえるし、和解が成立しなくても加害者が地検に起訴されると、裁判料なしで刑事付帯民事訴訟を提起し、加害者に対して損害賠償請求を行うことも可能となります。

また、刑事告訴が警察に受理され、裁判所から判決が出るに至るまでの時間が長いので、できるだけ短期決戦で臨みたいのであれば、警察の代わりに、自ら証拠書類を整理し、それをもとに訴状を書いて検察署または裁判所に提出する方法もあります。ただし、案件がクローズするまでの時間がだいぶ減った分、訴状を書くスキル、取り調べや公判に出廷し対応するための機転など、要求されるリーガル・リテラシーが非常に高い点は要留意です。マサヒロとかを代理人として立てて、訴訟関連の手続きを任せる対応方法もあるが、もし被害額が電器一台分の代金ぐらいのレベルであった場合、費用対効果の観点であまりお勧めできないかもしれません。

詐欺に遭ったときの要対応ステップ④

今週の学び

今年に入って、詐欺に関する刑事案件が爆発に増えるせいで、その他案件に手が回らないやばい状態が続いているから、何とかしてくれないか、というように、過労に陥っている台湾各地の検察官が上級機関に改善策を求めることが報じられています。キャッシュカード詐欺盗、還付金詐欺、金融商品詐欺、交際あっせん詐欺、預貯金詐欺、振り込め詐欺、チケット詐欺、オークション詐欺…等々、数えたらきりがない詐欺関連造語からも、詐欺事件の多発を物語っています。

5,000米ドルだけで台湾に居住する2,300万人の個人情報が買えると伝えられ、詐欺電話の一本か二本を受けることが日常化しつつある現在においては、詐欺被害に遭わない心得、たとえ詐欺に遭ってもただちに適切な救済措置を取ることの重要さは、もはや言うまでもありません。本マサレポは、少しでもお役に立てたら幸いです。

マサレポ、今週の学び

  • 詐欺行為に該当するかは、「詐欺の意図」の有無は重要な判断材料です。
  • 詐欺に遭ったら、とにかく165番をかけることです。中国語が難しいなら、165番のHPでオンライン通報を行いましょう。
  • 165番に通報しても被害届を出さないと、手続が完全に終了していない点は要注意。
  • 口座の凍結が間に合わなかった場合、改めて刑事訴訟を提起し、その後刑事付帯民事訴訟を提起すれば、被害額を取り戻せるチャンスがあります。

ATTENTION!

※本マサレポは2023年9月23日までの法律や司法見解をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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