渡る世間にペテン師ばかり?!―マサヒロ流護身術で大事な個人資産を守りましょう!

渡る世間にペテン師ばかり?!―マサヒロ流護身術で大事な個人資産を守りましょう!

知り合いから以下のような儲け話を持ち掛けられたことありませんか?

マサひろんさん、弊社は海外の不動産投資と暗号資産をやっていまして、それはそれは相当儲かっていますよ。小生のとなりのブガッティ・チェントディエチをご覧になれば分かっていただけますね。今からあなたに話すことはNDAなしでは語れない極秘情報なんですが、今までの付き合いもあるので、ここだけの話しということで開示しておきましょう。実はうち、今まだ公にされていないシャボンディ諸島での開発契約をゲットしていまして、どうだい、興味あります?今のうちに弊社に投資すれば、月利10%の配当を特別に保証しあげられますよ!最低投資額NT$100万から、2年後に元本を全額返金!千年に1回最高のチャンスですよ!

月利10%、まさに最高においしい話しですね。これぐらいの不労所得が毎月もらえるなら、定時に出社してあくせく働かくより、毎日マイホームにこもってアニメ鑑賞に明け暮れるでしょう(え、私だけ?)。

常識的に考えると、月利10%というのはありえないほど高すぎて、胡散臭いんだが、先方から提示された名刺には社名と会社の住所が明記されているし、会社の董事(取締役)を担当しているし、話しの中で見え見えのウソがあるわけでもないから、この話が本当なら、一攫千金のチャンスなのではと、思わず信用したくなったりしましょう。

会社の役員が就業ゴールドカードの所持者であれば、会社の登記手続きで優遇が受けられる!?

会社の役員に就業ゴールドカードを持っているかどうか、会社の登記手続きに何か関係ありますか?そもそも就業ゴールドカードとはどのようなカードですか?今週のマサヒロ…

「このタイプの人なら嘘をつくはずがない」、「ブガッティ・チェントディエチが買えるから、この人についていけば稼げるんだ」のような判断基準ではなく、このような儲け話しって果たして問題ないかを客観的に検証できるいくつかの方法を共有させていただき、投資詐欺からわが身を守る護身術として活用していただければ幸いです。

儲け話しを持ち掛けてきた人は、自身の信用度を高めようと、「〇〇会社」の「〇〇(大体高い役職)」を担当することを記載した名刺などを見せたりします。名の知られている上場企業の役員なら、それが真実かどうか公開情報から比較的簡単に調べることができるので騙されにくいが、問題となるのは、名刺に書いてあったのは株式市場に公開されていない会社のケースです

株式市場に公開されていない会社の場合、たとえよく見かけるGmailとは別に、独自ドメインのメールアドレスを有したり、自社のHPがあったりするなど、いかにも普通に事業を継続している会社に見えなくもないが、それだけでは、「当該会社が台湾法に基づいて設立され、現在通常運営中」を証明するための法的証拠とは言いにくいのです。手っ取り早い調査方法として、台湾の経済部(経済産業省に相当)が提供する「商工登記公示資料査詢服務」というサービスを利用することがおすすめです。

【マサヒロ起業支援コラム】台湾での起業形態を教えてください!

法人と言えば、日本にもありました株式会社(中国語:股份有限公司)か、有限会社(中国語:有限公司)との二択が一番主流です。前者を作るには、株主は最低二人必要で、…

Googleで「商工登記公示資料査詢服務」を検索すれば出てくるこのサイトは、台湾の経済部が運営し、上場しているかを問わず、台湾法に基づいて設立された会社であれば、どなたでも無料で会社の基本情報を調べることができます。儲け話しを提示してきた人からの名刺に書いてある会社名をこのサイトで検索してみれば、実在する会社であるかどうかが一発で分かってきます。試しに、台湾の「護国神山」であるTSMCを検索してみると、

マサヒロ流護身術その❶―会社の実在性を確認せよ!
マサヒロ流護身術その❶―会社の実在性を確認せよ!

上記画像のように、会社名、資本金、発行済み株式数、代表者、会社の住所、設立日、事業内容などの情報が見られます。もし名刺の会社名で検索しても何も出てこなかったり、名刺の差出人に「董事長(代表取締役)」と印字されているけど、検索結果に出た会社の代表が別人であったり、または当該会社が休眠中もしくは既に解散したと記載されたのであれば、「儲け話し」がペテンである可能性が生じてきます。

マサヒロ流護身術その❶―会社の実在性を確認せよ!

会社の実在性が確認できたら、次は冒頭のケースの投資プランについて考えましょう。

NT$100万以上を投資すれば、毎月10%の配当がもらえ、かつ元本も2年後全額返金されます。ハイリスクハイリターンの株投資や二束三文の利息しかもらえない投資型年金保険と比べると、本件の「儲け話し」は大変魅力に感じますね。しかし、現実世界では、手持ち金が一切減らずに月10%の配当を稼げるビジネスって本当にあるのでしょうか。約4割の中小企業が5年以内に廃業するという研究結果から考えると、さすがにありえなさすぎると言えましょう。そのとおりです。「元本保証+常識外れのハイリターン」というのは、まさにポンジ・スキームの典型的な手口です!

集めてきた資金を実際に何らかの事業で運用すればまだしも、ポンジ・スキームという詐欺行為を行使するペテン師は、お金を集めても表向きの事業活動を一切行わないで、後から預かるお金を、それ以前の出資者に対し「市場相場では考えられない配当金」として配るのです。ポンジ・スキームを継続させていくためには、新参者の投資者が絶え間なく現れたり、既存の投資者に新たな資金を投下させたりする必要があるため、遅かれ早かれ破滅を迎えてしまいます

台湾で詐欺行為を行うと、詐欺罪に該当するとして最高5年の懲役刑に処せられる可能性があります(刑法第339条)。しかし、今回の「2年後に元本を全額返金、月利10%の配当」という儲け話しは、紛れもなくポンジ・スキーム、詐欺行為だと言えば、刑法第339条にそうはっきりと定められたわけでもありません。何かもっと決定的な要素が欲しいですね。次の銀行法をチェックしてみましょう。

【詐欺に遭ったらまず何をしたらよいのか、どうやったらお金を取り戻せるのか?】―詐欺被害の対処法を徹底解説!

一消費者の立場として、不幸にも詐欺に遭ってしまったら、果たしてどう対応すればよいのか、そして騙し取られたお金を取り戻せるものなのかなど、被害者が自らの権利を守…

法律に別途規定がある場合を除き、銀行以外の者は、預金の受け入れ、信託資金の受託管理、公共財産の運用、国内外の為替業務を行ってはならない。

金銭の借入れ、投資の受け入れ、株主への加入またはその他の名義で、不特定または多数の者から集金して、元本と著しく不相当な配当、利息、株式配当またはその他の報酬を約束または支払う者は、預金の受け入れとみなされる。

第29条第1項の規定に違反した者は、3年以上10年以下の懲役刑に処し、NT$1,000万以上2億元以下の罰金を併科することができる。犯罪によって得た財産または財産上の利益がNT$1億以上に達した場合は、7年以上の懲役刑に処し、NT$2,500万元以上5億元以下の罰金を併科することができる。

上記の法律によると、借金か、投資の勧誘などの名義を問わず、相場より明らかに高い配当を保障することで他人からお金を集めることは、無断で銀行の専売特許である「預金業務」を行うとして、最高10年の懲役刑及びNT$2億元の罰金刑が下される形となります。「NT$100万の投資をすれば、月利10%の配当が得られる」というケースは、「元本と著しく不相当な配当」の要件に当てはまると考えられるため、当該投資案件の勧誘者が銀行法に違反するとして刑事責任を問われる可能性があります。

一方、もし勧誘者のターゲットはあくまでもマサひろん一人だけであれば、「不特定または多数の者」という要件が満たされないため、銀行法が適用されません。この場合、刑法の詐欺罪に該当するかを改めて検討する必要が生じてきます。

マサヒロ流護身術その❷―「元本保証+常識外れのハイリターン」であるかを考える

日本人を含め、全ての外国人が台湾の会社に出資する前に、事前に台湾の管理当局に対して投資許可を取らなければならず、台湾の就労ビザもしくは永久居留証を取得した外国人も例外ではありません。なお、外国人の出資先会社が営む事業内容にも制限がかけられており、外国人投資不可な事業を携わっている会社に投資許可を申請しても却下されるのです国人投資条例第7条)。

外国人投資許可の取得申請

台湾に支店がなく、居留証も持っていない、なおかつ、バージョン変え後の申請書がややこしくて作成できるわけがない!と悩んでいらっしゃっているようでしたら、マサヒロ…

冒頭のケースに戻るが、もし投資勧誘者から話しを受けた人が日本人なら、双方が本件月利10%の投資に合意した後、日本人投資者が投資先会社の株主として約束したお金を投資先会社の法人口座に送金して、毎月決まった日に配当金が振り込まれるのを待つだけ、というように、手続きはそう単純ではありません。

正しい手順としては、日本人投資者はまず自らもしくは専門家を依頼して、前述の管理当局に所定の書類を提出のうえ「外国人投資許可」を取得しておかなければなりません。許可が出れば、投資先会社の形態にもよるが、主務機関に対して会社の変更登記を行ったり、投資先会社から株券をもらったり、株主名簿の記載を要請したりするなどのプロセスを全てクリアしてはじめて、会社への出資手続きが完成することになります。従って、日本人が出資するならどういった手続きが必要か、的な探りをさりげなく投資勧誘者に入れたりすることで、先方からの回答次第、本物かどうかをある程度把握できましょう。

マサヒロ流護身術その❸―外国人投資許可を取ってくれるのか?

台湾はここ数年、詐欺事件が昔では想像できないほど爆増えしており、警察局や地方検察署などが忙殺され、消耗しきった退職検事が続出するという未曽有の事態まで発展しています。ベタなオレオレ詐欺のほか、クレジットカード詐欺、チケット詐欺、架空料金請求詐欺、ロマンス詐欺、不動産詐欺、及び被害額が一番大きいと考えられる今回の主役である投資詐欺などなど、羅列するだけで気持ちが悪くなるぐらい手口が多様化している現状です。えぐいことに、裁判官や弁護士、司法書士、会計士などの専門家が加担する詐欺事件も現れており、それらの手口を見破ってわが身を守るハードルが高まる一方と言っても過言ではありません。今回ご紹介させていただいた護身術を活用してなお違和感を覚えた投資案件がありましたら、どうか遠慮なくマサひろんへご相談ください。

マサレポ、今週の学び

  • 月利10%のような異常に高いリターンや「元本保証」などの甘い話には警戒が必要。特にポンジ・スキームの典型的な手口を見抜くことが重要。
  • 投資話を持ち掛ける企業が本当に存在するのか、台湾経済部の「商工登記公示資料査詢服務」などで調査し、代表者や会社の状況を確認すること。
  • 台湾の銀行法では「不特定多数から資金を集め、異常に高い配当を約束する行為」は違法とされ、刑事罰の対象になる可能性がある。
  • 日本人を含む外国人が台湾で投資する場合、事前に当局の許可が必要。適切な手続きを説明できない勧誘者は信用できない可能性が高い。
  • 台湾では詐欺事件が急増し、専門家が関与するケースもあるため、慎重に判断し、不審な投資案件はマサひろんに相談することが大切。

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