台湾に1日も住んでいないのに永久居留証が取れるって本当?!居住実績不要で永久居留証ゲットできるルール大公開!
毎年183日(半年に相当)以上台湾に住んでいないと、永久居留証の申請はできないぜ。
少なくとも5年以上台湾に住んでいないと、永久居留証の申請はできないよ。
永久居留証を入手できたからといって、毎年183日以上台湾に住んでいないと、せっかく入手した永久居留証が取り上げられるよ~
以上3本の都市伝説について、2021年にリリースしたマサレポで悉く撃破させていただきました。
2023年現在のルールでは、所定の要件をクリアできた場合、台湾に1年当たり平均183日住んでいれば、最短2年間で永久居留証をゲットできる形となっており、そして、前述の条件で永久居留証を入手後、毎年台湾に定住する事実がなくても、居留証が取り上げられる心配もありません。そのため、外国人による台湾永久居留証の申請件数は、以前にも増した勢いで成長しています。
申請要件は以前と比べたら、だいぶ緩和されたにもかかわらず、所定の要件をクリアできなかったり、あと少しで1年当たり183日の居住基準に届けるが、やむを得ない事情で帰国せねばいけなかったりなどで、永久居留証の申請を諦めせざるを得ない残念な事例が少なくありません。
一方、この間、以下のような相談を受けました。
台湾での居住実績が全く不要で、日本からでも台湾の永久居留証を申請できる方法もあると聞いたが、マサヒロはやってもらえるか?
最適な進行方法を提案してあげようと、同相談者にいくつかの個人情報を聞いてみたが、いわゆる高級専門人材の要件を満たしたわけでもなければ、文化、芸術、テクノロジー、体育、産業界等領域において世界的に認められる実績を有するでもないことが分かりました。そうすると、知っている人が少なく、利用者も決して多くない「あれ」を提案させていただきました。「あれ」の正体とは何なのでしょうか?
目次
台湾居住実績不要!永久居留証をゲットできる方法その1
冒頭の相談者と同じく、叙勲条例によって叙勲を受けたり、奨励産業における特別な専門技術を有したり、もしくはオリンピック又はワールドカップで3等賞以上をもらったりするようなレアケースに該当せず、しかも台湾に1日も住んでいない前提で、永久居留証を入手しようとする場合には、考えられる方法は、以下の投資プランその1です。
- 台湾の既存企業に1,500万NTDを投資したり、資本金1,500万NTDの企業を台湾で新規に設置したりすること
- 台湾人労働者を5人以上雇用して満3年であること
条件1については、投資可能な既存企業は非公開発行会社、つまり上場せず、店頭公開もしていない企業に限定されるため、財務データその他会社の運営情報が不透明なケースがほとんどです。投資先情報が乏しいのに、いきなり1,500万NTDの大金を投じたりする冒険家は稀かと思います。そのため、今までの成功事例は、1,500万NTDの資本金を放り込んで自らの会社を新たに作るケースに集中している現状です。
条件2は、いわゆる雇用機会の創出に関する要件です。雇用対象は台湾人労働者に限定されているため、たとえ投資者が自ら職員として働いたり、親族を日本から招へいして働かせたりしても、5人にカウントされません。また、台湾人労働者を雇用すると、今度は雇用形態についてケチをつけられる、例えばパートタイマーまたは派遣労働者を起用するのと正社員を起用するのと、頭数の計算方法が違ったりするなどの問題点も気を付けなければなりません。
留意が必要なのは、この投資プランは条件1と条件2を同時に達成することが要求される点です。
永久居留証をゲットできる方法その1のメリット・デメリット
投資プランその1の基本要件について一通り説明しました。次は、それに関するメリデメ分析をやってみましょう。
メリット①
投資プランその1の一番魅力的な特徴は、まさに「台湾居住実績不要」、「海外で申請できる」、といった特典です。年間の居住日数は平均で見ればよくて、連続して居住する年数が5年未満であっても、永久居留証が申請可能になったとはいえ、最低居住年数をクリアできない申請希望者はまだまだ多いので、訪台したことが全くなくても、日本で申請手続きを行える点は実に嬉しい設定です。
メリット②
なお、投資プランその1で永久居留証を無事入手したら、その配偶者及び18歳未満の子女もただちに申請者と一緒に永久居留証をゲットできるとされており、一旦家族帯同の居留証を取得して、3~5年連続して台湾に1年当たり183日居住しなければならない、という必須条件が緩和されます。
最短期間で家族全員の台湾永久居留証を一度に取得できる点も、投資プランその1にある大きなメリットと言えましょう。
メリット③
法律上、永久居留証の発行枠は毎年決まっており、その枠を超えた申請案は、原則として不許可とされます。ただし、投資プランその1による永久居留証の申請案は、当該制限を受けず、所定の手続きと要件をきちんとクリアすれば、問題なくカードをゲットできます。
次は、投資プランその1のデメリットについてみてみましょう
デメリット①
投資プランその1を実施するためには、まず1,500万NTDというどう考えても決して小さくない資金を会社に投じる必要があります。
1,500万NTDを他人の会社に出資する場合、もし申請者が実際投資先の経営に直接かかわるのでなければ、自らの資金はどのように運用されているのか全く分からず、リスクが低くありません。
一方、自ら資本金1,500万NTDの会社を作る場合、確かに前述のリスクはないが、いかに収益化するかの計画を立てずにいきなり会社を設置すると、空回りの状態が続くなかで、オフィス賃料その他ランニングコストだけが止めどなく発生し続ける形になります。そうすると、配当金がもしかしてもらえる他人の会社に投資する方法より、こちらのリスクが高いかもしれません。
上記とは別に、台湾人労働者を5名以上、3年連続して雇用する条件も、そこそこコストのかかる要求です。仮に台湾の最低賃金に近い3万NTDを月次給与に設定すると、この条件を達成するのに、少なくとも540万NTDがかかる計算となっています(賞与や社会保険などを考慮せず)。会社が3年間これぐらいの売上を稼がないと、ただちに債務超過すると言わないまでも、投資額の1/3強が風と共に去ってしまいます。
投資プランその1は総じて、リスクが小さくない、コストもかかる方法です。
デメリット②
台湾籍の投資家と違い、外国籍の投資家が台湾で展開可能な事業内容にちょっとした制限がかかっています。
例えば、兵器関連の製造業やバス・タクシー事業などはまずNGで、農業やたばこ製造業、電力供給事業などは、予め当局から特別許可を取らなければ実施できません。
そのため、1,500万NTDのポケットマネーをただ単に興味のある事業に投じたら、すぐに永久居留証をゲットできるわけではなく、まず法律上許される事業内容を洗い出して、そして3年間食っていける収益化計画を考える必要があるという、投資専門家ではない申請者にとってはそれなりのハードルになりましょう。
デメリット③
投資プランその1で台湾の永久居留証を入手した後、その翌年から、直近の連続する5年間に、台湾での年間居住日数が平均183日を達さないと、永久居留証が移民局によって廃止されます(出入国及び移民法第33条)。
一方、日本企業からの台湾駐在員、または少額の個人投資で台湾の居留証を取得した日本人の方は、居住年数や所得要件などをクリアして永久居留証をゲットした場合、台湾を出国して5年間一度も訪台したことがなかったら、永久居留証が廃止されます(外国専門人材招へい及び雇用法第19条)。
申請時に居住年数が要求されるとはいえ、後者は永久居留証取得後、5年に1回でも台湾を入国したら居留証を保有し続けるのに対して、前者は1,500万NTDも投資したのに、それによって入手した永久居留証は、年間平均で183日台湾に居住していないと取り上げられてしまいます。この辺の設定はバランスが明らかにおかしいので、投資プランその1の大きな欠点です。
投資プランその1のバグ
1,500万NTDを投資して、かつ5名の台湾人労働者を3年間雇用し続けたら、永久居留証が取れる、という投資プランその1なんですが、移民局の担当者の話では、申請者が満3年以降に、投資先の会社を継続したり、労働者を雇用し続けたりする実態があるかどうかは別に確認しないというので、極端な話し、投資年数が3年に達したらすぐ永久居留証を申請し、そして労働者を全員解雇して会社を解散・清算しても、投資プランその1の成立に何ら影響しません。
会社の継続が明らかに難しくなったのであれば、事業を畳んでも仕方のない話だが、永久居留証をゲットするという目標を達成した時点で、間髪を入れずにビジネスに終止符を打つ、というのはさすがにやりすぎです。次の法改正で、このバグが修正されるかは要注目です。
台湾居住実績不要!永久居留証をゲットできる方法その2
さて、気になる投資プランその2は、その1と比べたら大変シンプルで、3,000万NTD相当の台湾国債を購入して満3年であれば、永久居留証が申請できる仕組みです。
プランその1の投資額の2倍に該当する3,000万NTDを、永久居留証を取得する、という目的だけに使うのはどうかなと。
みたいな感想が持たれるかもしれません。しかし、国債の購入は株投資や先物取引とは違い、原則として元本が目減りすることはないので、投資プランその2は3,000万NTDを「使う」というより、国債という形で「貯金」することが要求される形となります。
しかし、問題は別にあります。
外国人が台湾の国債、社債その他金融債権などを購入する金額は、台湾への送金額の30%を超えてはならない。
上記台湾金融当局の通達によると、3,000万NTDの国債を購入するのに、まず1億NTDを台湾に送金しなければならないだそうです。そのため、手元に少なくとも1億NTDぐらいの現金がないと、投資プランその2を頭から外してもよいのです。
ヒマラヤ山脈的なハードルが設けられている関係で、投資プランその2を実施して無事永久居留証を取った成功事例は、関連法律ができた2007年から10数年が経った今になっても、たったの1件もありません。
大変意味不明な制度であるにもかかわらず、何故長年の間、一度も修正されていないのも非常に謎です。
今週の学び
「台湾に1日も住んでいないのに永久居留証が取れるって本当」、という都市伝説っぽいな制度について、以上のように報告させていただきました。いかがでしょうか。就業ゴールドカードの申請制度や、居住年数が緩和された永久居留証の優遇措置が設けられる今では、正直な感想として、投資プランその1もいいその2もいい、両方とも世間知らずな制度としか言いようがありませんね。
もし金銭的にそこそこの余裕があって、永久居留証をもらうまでに台湾に居住したくない、なおかつご家族も一緒に台湾に永住したい、と考えるようであれば、今回紹介した投資プランは参考していただけます。