「居留証の申請で移民局から面談要請を受けたけど、どう対応したらよいか」、「裁判で有罪判決が出ても(永久)居留証が取り上げられないって本当」、「ノービザ入国でも移民局に居留証を申請できるのか」―【在台日本人必読!】2024年の1月と3月に施行した改正移民法を徹底解説!

「居留証の申請で移民局から面談要請を受けたけど、どう対応したらよいか」、「裁判で有罪判決が出ても(永久)居留証が取り上げられないって本当」、「ノービザ入国でも移民局に居留証を申請できるのか」―【在台日本人必読!】2024年の1月と3月に施行した改正移民法を徹底解説!

外国人が台湾に居留する関連事項を規定する出入国及び移民法という法律は、1999年に誕生してから、10回ほど改正がなされていました。しかし、現状の法律では時代遅れなルールを少なからず抱えており、優秀な人材を台湾に引き留める観点からしては、むしろ足を引っ張るような存在となりつつあるのでは、と危惧する台湾当局は、去年の後半に思い切った改正を行い、そのうちの半分ぐらいが2024の年初に施行させ、残った半分が3月1日に施行させました。大体の改正点は既に抑えたのでしょうか。

2024年1月3日のマサレポにて、1月に施行した一部の改正点について共有したが、その他在台日本人の方にとって要注意な改正事項なども整理して以下まとめて紹介したいと思います。どうぞご参考ください!

今回行われた台湾の出入国及び移民法の大改正は、改正された条項は合計63条で、そのうちの35条は今年の元旦から既に施行しました。同法の改正点、及びそれに付随する細則並びに各種弁法における比較的重要性の高い内容はこうです。

①子供との面会を行使するための居留証が申請可能に

台湾籍の配偶者がなくなったり、「台湾人の配偶者」という在留資格で合法的に台湾に居住したことがあったりして、親権者であるかどうかを問わず、台湾戸籍を有する未成年子女を養育する事実があるか、定期的に未成年子女と面会する必要があった場合、移民局に居留証を申請することができるようになりました(出入国及び移民法第23条)。

台湾駐在員の配偶者も申請できる?!【パートタイム労働許可】

やや厳しいと思われる雇用先の資本金要件又は売上要件、配偶者本人に対する給与条件などがだいぶ緩和されるだけでなく、就職先も会社に限定されておらず、個人事業主でも…

また、台湾籍の配偶者を有する外国人は家庭内暴力の被害を受け、それによって離婚に至った場合は、未成年子女がいるかどうかを問わず、再婚するまでは台湾で引き続き居住することがもできるようになりました(出入国及び移民法第31条)。

そして、前述の外国人は、居住年数などの要件を満たしたら台湾の永久居留証も申請可能となり、申請時に「台湾人とは婚姻関係」があるかどうかは問われません出入国及び移民法施行細則第15条)。

①子供との面会を行使するための居留証が申請可能に

②配偶者及び未成年子女が一発で永久居留証をゲットできる

台湾に対する特別な功績を有したり、専門分野で一等賞を取ったりするなどの高級専門人材に該当する外国人は、その配偶者、未成年子女、障がいのある子女はたとえ台湾に居住実績がなくても、当該外国人と一緒に台湾の永久居留証を申請できるようになりました(出入国及び移民法第25条)。

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”台湾での居住実績が全く不要で、日本からでも台湾の永久居留証を申請できる方法もあると聞いたが、マサヒロはやってもらえるか?”「あれ」をやってみましょう!

一般的なケースでは、日本人の方が永久居留証を取得して5年経過した後、その扶養家族が当該5年間において台湾で一定日数を過ごしてはじめて永久居留証をゲットできるとされるが、高級専門人材に該当する外国人の扶養家族は、それほど待たなくても永久居留証をゲットできます。

②配偶者及び未成年子女が一発で永久居留証をゲットできる

③永久居留証が少なくとも5年間使える

5年連続して毎年183日以上台湾に居住して、ようやく永久居留証をゲットしたにもかかわらず、その後毎年台湾に183日以上住んでいないと、永久居留証が没収される可能性があります。5年の努力は1年のみで泡になって消えてなくなるのはちょっと寂しいですね。

居住年数5年未満であっても台湾永久居留が可能に!

コロナの水際対策でビジネス関係でのビザ申請がなお許してくれない空気のなかであっても、優秀な外国人を台湾に引き留める要因を少しでも増やそうと、専門性を有する仕事…

台湾がそのような寂しい国にならないよう、もっとフェアに行こうと考えたりする台湾当局は今回の法改正で、毎年183日あるかをチェックするのではなく、5年平均で183日以上台湾にいれば永住権をキープできるとしてくれました(出入国及び移民法第33条)。また、いわゆる5年というのは、永久居留証の発行を受けた翌年の1月1日から計算スタートとされ、それから5年が経過した時点で、「1年当たり183日以上」であるかどうかの検証がなされるわけなので、それまでの5年間は永久居留証が取り上げられる心配はありません(出入国及び移民法施行細則第18-1条)。

極端な話し、もし2024年の1月1日に永久居留証を手に入れたら、2024年はノーカウントで、2025年から5年が経過した2029年12月31日になって初めて永久居留証を持ち続けられるかの検証が行われます。この設例だと、2024年1月1日からの6年間は無条件で永久居留証を保有してよいとされるわけです(犯罪行為などを犯したら勿論この限りではない)!

183日のルールをクリアできるかを悩んで、永久居留証の申請を躊躇しているなら、今すぐアクションを取りましょう!

③永久居留証が少なくとも5年間使える

④ノービザ入国でも居留証をゲットできる

日本本社から指示を受け、これから台湾現地法人または台湾支店に駐在する日本人の方は、原則として台湾現地法人または台湾支店に就労許可を取ってもらって、当該許可をもって台湾が日本に設置した大使館または領事館にビザを申請し、ビザを入手してから台湾に入国して移民局に居留証を申請する、という3点セットの形で手続きを行う必要がありました。

一方、法改正後、台湾の就労許可さえ取得できれば、予めビザを申請せず、ノービザで台湾に入国しても、直接移民局に居留証を申請できるようになりました出入国及び移民法第23条)。台湾の大使館または領事館にアポを取って、気が遠くなるほどの交通時間を費やし、数日ないし1~2週間の審査を待って、ようやくビザを取得する、という七面倒な手続きをしなくて済むのが実に喜ばしい改正です!

④ノービザ入国でも居留証をゲットできる

⑤居留証の切り替えは期間満了日から3ヶ月以内

この前のマサレポにおいても本件について報告したが、去年までは、居留証の更新は「使用期限から30日以内」、というギリギリのタイミングを待たなければ手続きができない、という厳しい制限が設けられたが、就労許可なんか4カ月も前から更新できるのに、居留証だけ使用期限の30日以内という訳の分からない設定を保ってもしょうがないことにやっと気づいた台湾当局は、2024年から、「満了日3ヶ月以内であれば更新可能だゾ(しんちゃん口調)」にしてくれました。

2024年の初陣を務める、要注意な労務・税務・居留関係に関する新規ルールをまとめて公開!

「今を生きる」という気持ちで、とりあえず2024年の初頭から施行する、いくつか気になる新しい台湾の法律規定をチェックしましょう。

それによって、とっくの昔に居留証の使用期限を意識していたけど、最近急に忙しくなって、使用期限30以内に更新手続きをし損ない、オーバーステイとなってしまった的な悲劇は今年からだいぶ減ると思われます。

⑤居留証の切り替えは期間満了日から3ヶ月以内

⑥居留証が失効してもさらに2ヶ月滞在可能

同じくこの前のマサレポにて紹介した制度だが、妊娠中または重たい病気を患って、もしくは台湾に住んでいる親族の介護などの事情があれば、たとえ手持ちの居留証が期限切れで、更新しようとしても法律に認められる在留資格がなくても、最大2ヶ月間の滞在延期を申請可能となりました。これはまさに人道を重視する姿勢が伺える改正点ですね。

⑥居留証が失効してもさらに2ヶ月滞在可能

⑦面談時に弁護士を同席させる権利

外国人が台湾の移民局に居留証または永久居留証の発行を申請するとき、審査担当官は必要に応じて、申請者本人に面談を行うことができます(出入国及び移民法第65条)。もし申請者は過去においてノービザで台湾へ何度も行ったりすることがあって、かつその頻度が通常の旅行者にしてはちょっと多めなほうであれば、面談時に担当官から色々聞かれたりする可能性が濃厚です。言葉などの問題でうまく真意を伝えきれず、担当官に予期せぬ誤解を与えてしまえば、(永久)居留証の発行がお預けにされることは考えられます。このような難点を無くす対策として、台湾当局は外国人申請者にとってメリットのある弁護士を同席させる権利」を明文化してくれました。

「相手が契約を守ってくれないと困るから、立会人を頼んだらどうか?」―契約立ち合いの法的効果について

契約するとき、立会人はどういった役割を発揮するのか、弁護士を立会人として同席させたら何かメリットあるのかを含め、「契約立ち合い」の意味及び効果について以下解説…

ルール的には、外国人申請者が台湾に入国した後に行われる面談の場合、移民局は能動的に「弁護士を同席させる権利」を告知してくれて、外国人申請者の希望により最大3名の弁護士を一度に同席させ(内政部移民署面談実施弁法第6条)、適時要説明事項の補充を協力してもらえるが、録音または撮影はNGとされます(内政部移民署面談実施弁法第7条)。ちなみに、外国人申請者は最初ソロで担当官との面談に応じたが、途中で違和感を覚え、やはり弁護士を頼もうと考えるようになったら、1回限りのやり直しを担当官にお願いすることも可能とされます(内政部移民署面談実施弁法第9条)。

⑦面談時に弁護士を同席させる権利

⑧永久居留証を申請できない「素性不良」という要件の定義

1月1日に施行した改正ルールには、警察証明書に犯罪経歴が記載されたり、素性不良であったりする場合には、永久居留証の申請ができないとの点が追加されました(出入国及び移民法第25条)。警察証明書に関してはすごく単純明快なので、別に疑問は生じないのに対して、何をもって「素性不良」と認定できるのかについて、実務的にはよくトラブったりします。そのため、台湾当局は既に出来上がった外国専門人材のバージョンを参考に、以下のように「素性不良」を定義づけました。

  • 犯罪を犯して、起訴猶予、拘留、罰金または執行猶予を言い渡され確定した場合。ただし、過失による犯罪はこの限りではない。
  • 殺傷能力のある器具を所持するその他社会秩序維持法に反する行為があったと認められ、秩序罰を受け確定した場合
  • 台湾籍の配偶者または未成年子女への扶養義務を果たしていない場合
  • 習慣的に台湾籍の親族に家庭内暴力を振るい、当該事実が裁判所によって認められた場合。ただし、家庭内暴力に対する判決がまだ確定しておらず、かつ当該暴力行為は自己防衛または外国人申請者の責めに帰さない事由によるものであった場合、この限りではない。
  • 台湾に居住する間に児童及び少年少女に対して性的な侵害行為を行い、かつそれが調査によって事実であると証明された場合

また、以下いずれかの状況に該当する場合、「素性不良」とは認められません。

  • 猶予の期間を経過したとき、起訴猶予または執行猶予が取り消されない場合
  • 罰金は既に全額支払われた場合
  • 刑罰が懲役6ヶ月以下、拘留または罰金などの軽い犯罪を犯し、かつ刑が時効により完成して3年経過した場合
  • 社会秩序維持法の違反による過料が支払済みで、またはそれによる処罰が時効を迎え、もしくは特定の違反行為は外国人申請者の責めに帰さない事由によるものであった場合
  • 扶養義務を怠り、もしくは家庭内暴力を行ったりした日から3年以内に、「素性不良」と認められた行為を行わなかった場合
  • 児童及び少年少女に対する性的な侵害行為を行ったことによる過料を支払い済みで、またはそれによる処罰が時効を迎え、もしくは法によって処罰が免除されて3年経過した場合。ただし、前述の侵害行為が犯罪に該当し、起訴猶予、執行猶予または罰金に言い渡され確定した場合、罰金を全額支払って、もしくは猶予期間が過ぎても起訴猶予または執行猶予が取り消されることなく3年が経過した場合も同様。
⑧永久居留証を申請できない「素性不良」という要件の定義

次は、3月1日から施行した重要な改選点をチェックしましょう。

①オーバーステイに対する厳罰化

外国人がノービザ入国で滞在できる期間が過ぎても出国しなかったり、居留証の有効期間がなくなっても更新しなかったりしてオーバーステイとなって、入国禁止処分が下った場合、禁止期間が今までの3年から7年に引き上げられ外国人入国禁止作業規定第4条)、過料処分が下った場合、金額がNT$1万~5万とされるようになりました出入国及び移民法第74-1条)。

入国できない期間が2倍以上の7年、過料の最高額も5万にされたため、居留証の更新をうっかり失念しないよう、今まで以上に気を付けなければなりません。

①オーバーステイに対する厳罰化

②オーバーステイへの処分の軽減要件が明文化

前述のとおり、外国人が台湾でオーバーステイになったら、NT$1~5万の過料処分が下ります。しかし、以下いずれかの状況に該当した場合、管轄する行政機関は過料を半額にしてくれる可能性があります。

  • オーバーステイした外国人が80才以上の場合
  • オーバーステイした外国人が14才以上、18才未満の場合
  • オーバーステイした外国人に台湾戸籍を有する未成年子女との面会交流権を行使する事実があった場合(オーバーステイ期間6ヶ月以内に限定される)
  • 社会的に弱い立場にある者を支援したためにオーバーステイになって、もしくはオーバーステイした本人が社会的に弱い立場にある者で、かつ地方自治体が発行する証明書を提出できる場合(オーバーステイ期間が6ヶ月以内に限定される)
  • 心身障害または命に関わる重篤な病を患ったことによるオーバーステイ、かつ専門医から診断証明を提出できる場合(オーバーステイ期間が6ヶ月以内に限定される)
  • 妊娠または生産、流産などの原因で、航空機や船舶に搭乗できないことによるオーバーステイ、かつ証明書類を提出できる場合(オーバーステイ期間が6ヶ月以内に限定される)
②オーバーステイへの処分の軽減要件が明文化

③入国禁止期間を半減可能なルール

外国人がノービザ入国で滞在できる期間が過ぎても出国しなかったり、居留証の有効期間がなくなっても更新しなかったりしてオーバーステイとなって、もしくは就労許可を取らずに台湾で就労活動を行った場合、最長7年の入国禁止処分が下ります。ただし、前述の外国人に台湾戸籍を有する子女、戸籍がないけど合法的に台湾で居住する子女、もしくは台湾の永久居留証を有する子女を持っている場合、入国禁止期間を半分にする申請ができます(外国人入国禁止作業規定第11条同規定第12条)。

③入国禁止期間を半減可能なルール

④審議会に弁護士と通訳を同席させる権利

移民局が外国人に強制退去処分を下す際に、当該外国人は3名以内の弁護士と通訳を急遽依頼して、処分を決定する審議会に同席させ、不服申し立てを行うことができるようになりました(外国人強制退去処理弁法第4条同弁法第5条)。

今までは、別に悪いことをしていないと言わないまでも、何かやむを得ない大人の事情があって関連ルールを軽く違反したけど、言葉が通じないだけに、きちんとした事実関係の説明ができず、強制退去を食らわずに済む案件であっても出国を命じられた事例があったりします。これからは、移民局の調査を受け現場説明を求められるときに、マサヒロのような日本語が通じる弁護士事務所を頼んで、個人の主張を貫き通すことができます強制退去案件審査会の設置及び作業要点第10条)。

④審議会に弁護士と通訳を同席させる権利

⑤居留証取り消し要件の追加

移民局から居留証の発行を受けた外国人は、故意に犯罪行為を行い、裁判所によって1年以上の懲役刑を言い渡され、かつ執行猶予を受けなかった場合は、既にもらった居留証が取り上げられ、刑の重さにより、2~8年の間居留証を再申請しても許可されない、という取り消し要件が追加されました(居留申請不許可期間処理原則第3条)。

また、「台湾人の配偶者」という在留資格で居留証を申請したが、正当な理由なく配偶者と別居したり、夫婦の婚姻関係について嘘な陳述をしたりすると、居留証が取り上げられ、かつ1~5年間申請不可とのルールも追加されました(出入国及び移民法第24条居留申請不許可期間処理原則第4条)。

ちなみに、オーバーステイによる居留証の申請禁止期間は、今までの3年から最長7年に引き上げられた点も要留意です(居留申請不許可期間処理原則第5条)。

⑤居留証取り消し要件の追加

今年に施行した大変形後の移民法は、改正点が多すぎて、全てを列記すると、文字数が過度に長くなり、内容を読むだけでも相当な労力がかかってしまうため、今回は在台日本人の方にとって比較的参考になる項目を厳選して紹介しました。これからのマサレポに登場する法律事例によって、いくつか細かい改正点を追加で紹介させていただくかもしれないので、乞うご期待!

マサレポ、今週の学び

  • 台湾人配偶者との婚姻関係がなくても、台湾戸籍を有する未成年子女との面会などの理由で居留証を申請できます。
  • 永久居留証を入手した翌年からの5年間、毎年平均183日以上台湾に居住しないと、永久居留証が取り上げられます。つまり1年だけ台湾での居住日数が183日未満であった場合、永久居留証が失効にはなりません。(※日本駐在員が永久居留証を取得した場合、5年に1回でも台湾に入国したら失効にはなりません)
  • 予め台湾の大使館または領事館でビザを申請せず、ノービザで台湾に入国しても、就労許可さえあれば居留証を申請可能です。
  • 居留証の更新は有効期限の3ヶ月以内に行なえます。
  • 永久居留証の申請に警察証明書の提出が必要のほか、「素性不良」に該当する行為を行っていないという点も要留意。
  • 台湾でオーバーステイになったら、過料や入国禁止期間などの処罰は過去より重くなったが、処罰の軽減及び入国禁止期間を半減できるルールもはっきりとなりました。
  • 移民局から面談を求められたり、審議会の参加要請を受けたりした場合、弁護士と通訳を同席させる権利が付与されました。

ATTENTION!

※本マサレポは2024年3月29日までの法律や司法見解をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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