セクハラ防止措置!?なにそれ?

セクハラ行為を働いてはいけません、それは宇宙共通の常識です。

では、会社側ではセクハラ防止措置を定め、それを可視化にしたうえ社内掲示する義務があるほか、自社内に相談ホットラインを設置し相談役を指定する、セクハラ事件の当事者からの相談に当たらせなければならず、そうしないと10万新台湾ドルUPの過料が発生する、といったガチルールの存在をご存じでしょうか。

既に本件コンプライアンスが整った場合には、今週のレポートをもって自社の整備状況を再確認する契機にしていただき、これから社員数30名を目指そうとする場合には、今週のレポートを参考情報にしていただけたら幸いです。では、レポートスタートです!

法的根拠

性別就業平等法第13条の定めによると、従業員を30名以上雇用した事業者は、セクシュアルハラスメント(セクハラ)の防止措置・相談窓口を設置し懲戒規定を定め、常時各事業所の見やすい場所にそれらを掲示し、または備え付ける必要があり、職場におけるセクハラが生じた事実が確認できた場合においては、事業主は速やかに行為者に対して必要な懲戒措置、被害者に対する配慮のある措置を適正に行わなければならないとされています。

また、セクハラ防止措置の作成指針として、台湾の労働部は別途「事業所セクシュアルハラスメントの防止措置・相談及び懲戒弁法作成準則」をリリースしています。同準則での主なポイントは以下になります。

事業所セクシュアルハラスメントの防止措置・相談及び懲戒弁法作成準則

  • 従業員を30名以上雇用した事業者は、セクハラの防止措置・相談及び懲戒弁法を定め、事業所の見やすい場所に掲示し、なおかつ同書面を個別の従業員に交付必要です。(同準則第2条)
  • セクハラ防止措置に、セクハラの防止に関する研修・講習の実施、事業所でのセクハラ防止に関する声明書の掲示・セクハラ相談窓口の設置・担当者の指定、セクハラ相談者のプライバシー保護や如何なる不利益が発生しない配慮、セクハラ行為者への懲戒処分等の事項を含ませる必要があります。(同準則第4条)
  • セクハラ防止に関する相談専用電話・ファクシミリ・メールアドレス等を設置し、常時各事業所の見やすい場所に関連情報を掲示必要です。(同準則第5条)
  • セクハラに関する相談は面談又は電話とも可能とし、面談で受け付けた場合には、担当者は書面による記録を作成し、相談者の面前で内容を読み上げたり読んでもらったりして、内容確認ができてから相談者に同書面にサインしてもらう必要があります。(同準則第6条)
  • 非公開な形でセクハラ相談に応じるものとし、構成員の男女比率を留意のうえ、事業主代表と従業員代表共同でセクハラ事案処理委員会を設置し対応することができます。(同準則第7条)
  • セクハラ事案処理委員会は、書面による通知をもって、相談者、相談者の相手方、事業主へ決議内容を知らせなければなりません。(同準則第10条)
  • 受け付けた相談事案は、相談がなされた日から2ヶ月内に結論を出さなければならず、必要に応じて、当事者へ通知のうえ1か月間延長可能。相談者及び相談者の相手方は書面通知を受けた翌日から20日内に、書面をもって異議申し立てを行うことができます。また、セクハラ事案がクローズしたら、同様事案を再度提出できないものとされています。(同準則第11条)

公式テンプル

事業規模が知らず知らずに拡大し、ある日朝礼をやっていたら社員がなんと30名になってしまったことにふっと気付いた事業主は、

“セクハラ防止措置!?なにそれ?”

という風なショックを受けた事例が数少なくありません。

生涯初めて台湾で30名社員を抱えることとなる事業主が受けるショックを少しでも和らげようと、親心丸出しの労働部は、事業規模別で、セクハラ対策における2種類の最重要書類の公式テンプレを用意してくれています。同テンプレにアクセスできるリンクを以下共有致しますので、必要に応じて活用してください。

  • 【社員数30~500名会社用】
  • 【社員数500名以上会社用】

補足情報

セクハラ事件が起きてから○日内に、相談窓口の担当者に相談しない場合には、不受理とする、のような規定を作ってもいいですか

との設問に対して、当局が出した公式見解は以下のような内容です。

行政院労工委員会中華民国100年10月5日労働3字第1000132616号解釈通達

性別就業平等法では、セクハラの被害を受けた労働者はいつまでに相談をしてください、のような定めがなく、事業所におけるセクハラ行為の防止措置及び発生したときの対処法を定める事業所セクシュアルハラスメントの防止措置・相談及び懲戒弁法作成準則においてもそのような定めがないため、相談者が救済を求める権利が損なわれないよう、自社内で相談期限を定めてはならないと結論付ける。

セクハラ行為に関する相談期限を定めることで、セクハラ行為に関する事実関係をより効率よく突き止め、早期に問題解決につながる、といった点は相談期限を決めるメリットとなり得ますが、法的根拠がないことと、被害者目線ではちょっとしたデメリットになる等の観点で、相談期限設定不可との判断になるわけですね。

罰則

以上紹介したセクハラ防止措置に関するコンプライアンスを遵守しない罰則として、おなじみの労務ペナルティ3兄弟、つまり過料・社名公表・責任者名公表が用意されています。

一つ異なる点はと言えば、その他違法事例での過料は初犯だと大体2万新台湾ドルぐらいですが、こちらのスタート地点はなんと10万新台湾ドル(最高50万新台湾ドル)とされています。5倍券同様、過料も5倍にされているので、気を付けおきましょう。

Attention!

※本稿は2021年12月23日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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