国民総検査時代に突入!?従業員が出社前に行うコロナ抗原検査にかかった費用は自己負担でよいのか?

1日のコロナ感染者数がまもなく10万人に達するとささやかれています。これからは、出社時や客先を訪問するとき、既に日常化になっている体温測定や両手の消毒に加え、「コロナ抗原検査」の実施を要求されることも徐々に定着していくかもしれません。

客先訪問は、必要に応じたまに行われるものなので、客先に迷惑を掛けないよう、抗原検査を受けることは納得がいきましょう。

それに対して、1週間の内、少なくとも5日ぐらい出社しなければならない従業員にはコロナ抗原検査を受けることを要求すると、たとえ毎日ではなく、1日や2日おきにやってくださいとの会社命令であっても、かかる検査キットの調達費用は、一従業員にとってそれなりの費用負担になってしまいます。

その辺の考え方は、台湾の法律的にはどういう風に定められているか、コロナ抗原検査を受けろとの会社命令が出たら従業員はそれを拒否できるものなのか等、コロナ抗原検査にまつわるよくあるお問い合わせについて、難解な専門用語を極力排除のうえ、マサレポ的に分かりやすく解説させていただきます!

従業員が行う新型コロナ抗原検査にかかる費用の負担先について

会社は、事業所等における感染拡大防止の観点で、従業員に出社前に新型コロナ抗原検査を受けるよう要求する場合には、新型コロナ抗原検査を購入する費用を会社が負担しなければならないという、台湾の労働部が5月13日(金)にリリースしたニュースレターのなかで、正式にこの見解を述べました。

従って、会社が新型コロナ抗原検査キットを一括購入し、従業員に使用させた分を、従業員の賃金から検査キット代を差し引いたり、従業員に新型コロナ抗原検査キットの自費購入を命じたりすることはできない形とされています。

また、会社は自社経費で、何かしらの生活必需品を購入し従業員に使わせたら、会社の経費としては落とせるが、こういった補助を受けた従業員が受領する給与所得に、当該経費分が上乗せされ、個人所得税の負担が若干重くなったりします。

一方、会社が購入し従業員に使わせる新型コロナ抗原検査キットにかかった経費、及び従業員が先に購入し会社に請求する新型コロナ抗原検査キットにかかった費用は、従業員の給与所得としてカウントされない、という従業員にとってプラス的な公式見解は、台湾の国税局が5月12日(木)にリリースしたニュースレターでなされていました。

要留意な点としては、個人が薬局にて実名制で家庭用抗原検査キットを購入する場合には、台湾の公的インボイスである統一発票をもらえないので(財政部1110429台財税字第11104579550号通達)、同検査キットを購入することで会社から補助金が出る制度を利用しようとするならば、実名制購入ではなく、会社に請求用のエビデンスである統一発票を入手できる通常購入を行うことが必要です。

そもそも従業員に出社前の抗原検査を強制できるのか?

前述のとおり、従業員に対して、出社前に新型コロナ抗原検査を受けるよう会社が要求した場合には、新型コロナ抗原検査キットの購入費用を会社が負担すべきであることが分かりました。

では、当該検査を頑なに拒否する従業員が居たら、会社はそれを理由に懲戒処分を下せるかというと、3回目のワクチン接種を受けていない医療従事者、幼稚園や学習塾の教師等を含めた、コロナ緊急対策本部から指定された対象者を除き、原則として抗原検査の実施を拒否するのみを理由に、従業員に出勤させなかったり、解雇したりしてはならないとされています。(合わせて以下マサレポもご参考いただけます)

新型コロナウイルスを発症した従業員が休暇を取得しようとする場合

会社に新型コロナウイルスを発症した従業員が居たら、コロナ緊急対策本部の指示に従い、無症状や軽症の場合原則として一定期間の自宅療養が義務付けられます。(高齢者や妊婦、幼児を除く)その場合、会社に対しては病気休暇、年次有給休暇又は自己都合休暇を取得することができるとされています。(詳しくは以下マサレポを合わせてご参考ください)

通常の場合、新型コロナを発症した従業員は、当局から交付される「新型コロナウイルス隔離治療通知書」をエビデンスとして会社に提出すれば、病気休暇を問題なく取得できます。

にもかかわらず、台湾はこの間、コロナ感染者が劇的に増加していることで、新型コロナウイルス隔離治療通知書が遅れて届いたり、或いは全く届いていなかったりするケースがあっちこっちに起きています。

病気休暇を取得するためのエビデンスがなかなか手に入らないことで、コロナを発症した従業員はタイムリーに会社から休みをとれず、感染拡大の不安要素になってしまいます。

上記の問題点に対して、台湾の労働部は、入手するには比較的時間がかかる新型コロナウイルス隔離治療通知書の代わりに、台湾の健康保険署が開発した「全民健保行動快易通」スマホアプリにおける「健康通帳」というチェック機能で確認ができるPCR陽性結果の画面を、スクリーンショットで撮影した画像も休暇取得のエビデンスとして成立する、との公式見解を示しました。(2022年5月8日労働部ニュースレター)

一方、携帯のスクショだと加工しやすいので、それをいじったりして、休暇を不正取得しようとする従業員が出てきたりしないか、といった心配の声も上がっていますが、隔離期間終了後において、当該従業員に携帯の画面を直接見せてもらったり、事後届いた新型コロナウイルス隔離治療通知書を提出してもらったりすることで、休暇不正取得のリスクを完全に無くせるので、それほど心配する必要はありません。

市販の抗原検査キットが足りない問題

当社は、出勤前に新型コロナ抗原検査を受けることを、従業員から同意を得て、定期検査制度をこれから本格的に導入しようとの段階に漕ぎつけたものの、ウィズコロナのご時世に、市販で入手できる検査キットの数量が不足気味で、他の調達ルートを模索中。

といったお悩みを抱えている会社は少なくありません。

それを受け、台湾の衛生福利部食品薬物管理署(FDA)が5月11日(水)にて、同日付で企業は公的審査を通った新型コロナ抗原検査キットを、2022年8月31日までに条件付きで海外から輸入することを許可する、との公告を行いました。従って、市販又は指定を受けた台湾国内の企業から購入するオーソドックスな方法のほか、海外から検査キットを輸入する形で調達することも可能となりました。

では、どういった条件を守れば、会社名義で海外から新型コロナ抗原検査キットを輸入できるかについてチェックしてみましょう。

【自社用新型コロナ抗原検査キットの海外輸入に関する臨時措置】

  • 適用期間:2022年5月11日~2022年8月31日
  • 適用対象者:日本法人が台湾で設立した現地法人や支店を含めた台湾法人
  • 輸入可能な検査キット:台湾FDAが公告した品目のみ(5日13日時点で27品目)
  • 輸入可能な数量:全社従業員数×100本が上限、8月31日までの輸入回数は1回のみ
  • 申請手続:事前許可制度が取られ、申請書や自社用誓約書、従業員名簿等書類を台湾FDAに提出し、申請手数料2,000新台湾ドルを納めて申請を行う。
  • 審査期間:約1週間

前述した手続きを行って、審査が通ったら、台湾FDAから許可通知書が交付されます。新型コロナ抗原検査キットの輸入時に、同通知書に記載された許可番号を通関用書類に記載し税関へ提出することが必要とされています。

2022年5月13日(5月16日現在最新)時点公告された輸入可能な新型コロナ抗原検査キットの品目は以下27種類になります。(16日以降のリスト更新については、台湾FDAのHPにてご確認いただけます)

ATTENTION!

※本マサレポは2022年5月16日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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