みなし残業手当のような手当方式は台湾では通用します?
マサヒロ解説:
実際の残業時間で計算するのではなく、たとえば毎月20時間を固定の残業時間とみなして、残業手当相当額を支給する、つまり残業が10時間のときも30時間のときも同額の支給を行う方法は、台湾では原則として”NG”となっています!
台湾労働基準法の定めでは、各従業員実際の超過勤務時間に応じ、1時間当たりの基礎賃金に所定の割増率を乗じて計算した残業代を支払う必要があると規定されています(労基法第24条)。従業員の同意を得た場合は、残業代を支払う代わりに、代休を与える対応も可能ですが、みなし残業手当の実施は通常違法になってしまいます。
違法の効果は何かといいますと、違法の情状や関係者の人数、事業規模等によって、2万~最大150万台湾ドルの過料に処される可能性があるほか(労基法第79条第1項第1号)、下記画像のように、社名、責任者、処分の期日、違法した条項及び過料額を当局の公式サイトにて公告されてしまいますので(労基法第80-1条第1項)、残業代の計算及び支払いはきちんと法律を守って行ったほうがよいでしょう。
一方、特例として、マネジメントクラスの管理職は、例えば総経理(総支配人)や取締役等、台湾会社法に定めのあった承認手続を経て、別途委任契約等を交わしたら、残業代の支払対象から外すことは可能ですが、日本での考え方とだいぶ違ったりする点が割と多いなので、この辺の処理は非常にデリケートで間違いやすいです。従って、こういった質問に出くわしましたら、先に法律専門家の意見を聞いておくことがおすすめです。
Attention!
※こちらの文章は2021年6月16日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。