台湾でテレワークを行うにあたっての注意点は何か?

台湾は今年の前半までは、世界中にどや顔できる防疫戦争をしてきましたが、5月の中に入って、いきなり今までにない大型クラスター感染が発生し、クラスター関係者がとめどなく増加する一方なので、台湾版の緊急事態宣言、第三級警戒令が発されることとなりました。学級閉鎖に加え、飲食店の店内飲食禁止、社交行為による集まりをなるべく控えめにという、台湾ではもともと馴染みのないコロナ関連措置がだんだん日常化してきました。政府に止まらず、民間企業にも短期間でテレワークを導入させています。では、テレワークの実施については、台湾の労基法に照らしての主な留意点を見てみましょう!

●出退勤記録の作成義務

原則として、テレワークを実施中であっても、出退勤時間についての強制ルールを今まで通りに遵守する必要があり、分単位まで記録を取らなければならないとの規定に変更はありません。通常時のタイムカードが使えない代わりに、テレワーク対象従業員にLINEやエクセル等のソフトを使い、自ら実質の出退勤時間を取って、月次ベースで会社に提出してもらう方法が取られる一方、コロナを機に、勤怠管理システムを導入し、テレワーク対象従業員にシステム経由で、自らの出退勤時間や残業時間をリアルタームでオンライン申告してもらったり方法もそこそこポピュラーです。

●旅費交通費、接待交際費などの性質を有する手当の支給義務の有無

従業員に、毎月通勤関連の領収書を提出してもらい、それをもとに交通費等を清算して支払う制度を今まで取ってきましたら、テレワークの実施によって、通勤が必要なくなったため、会社側ではそのような支払い義務もありません。一方、今までは領収書なしで、毎月定額の通勤手当を支払う制度を実施していた場合については、そういった月次の定額給付は、役務提供の対価の一部として見られますので、対象従業員ときちんと協議せず、会社が一方的に定額給付の通勤手当を外したら、労基法に抵触する可能性が生じてまいりますので、注意しておきましょう。

●労災責任の有無

テレワーク中に、自宅のトイレで転倒したり、昼食の調達で外出したら交通事故に遭ったりする場合は、労災扱いになり得ますが、因果関係への立証責任が原則として対象従業員にあります。そういったテレワークでよく起きたりする事故については、細心の注意をはらってくださいね、という風に、会社がテレワーク対象従業員に対してきちんと注意喚起することで、会社側は既に善良な管理者の注意義務を果たした、との意思表示ができ、不要な労災責任を問われる可能性も低くなります。

●業務執行に必要なネットワーク通信費

テレワークの実施により生じるネットワーク通信費の取り扱いについては、台湾の労働部からはまだ正式なガイドラインが発表されていないため、現状は労使双方の協議に任されています。よくある対応方法は、例えば今まで従業員に支払っている住宅手当や交通手当を、ネットワーク通信費等、テレワークの実施によって新たに生じる経費負担に充てる代替案について、社員と協議したりするやり方が多く見られています。ですから、政府から公式な対処方法が出るまでは、会社が一方的に何もかも決定する代わりに、対象従業員とのコミュニケーションを経て柔軟な対応を取っていくことが、過渡期におけるベストポリシーでしょう。

Attention!

※こちらの文章は2021年6月25日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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