台湾の労働局へ連絡したら、試用期間の定めが違法だって言われた、ほんまかいな?

台湾現行の労働基準法では、試用期間についての定めがありませんが、雇用契約書にて合理的な試用期間を設定したりすることは問題ないと、台湾の労働部が自らのオフィシャルHPにてそういう風な公表をしています。(2018年7月4日労働部ニューズレター)おそらく、台湾の中小企業によく見られる、試用期間濫用の現象を少しでも歯止めをかけようと、お問い合わせセンターの方からは、だいぶ自分の気持ちが込められたような回答をもらったのではと思われます。せっかくのチャンスなので、台湾で試用期間を運用するにあたっての要留意点を見てまいりましょう!

都市伝説その1:試用期間内での解雇に、解雇手当支払い義務なし

冒頭説明の通り、台湾の労働基準法の本文に、試用期間に関する定めがありません。従って、「試用期間内の解雇に、解雇手当支払い義務なし」という例外的な措置が存在するはずはございません。上記に言及のあった、労働部がHPにて公表した2018年7月4日労働部ニューズレターでは、試用期間の導入はありだが、試用期間内又は終了後における解雇の実施に、労基法第11条(予告解雇)、第12条(懲戒解雇)、第16条(予告期間)、第17条(解雇手当の支払い義務)を違反してはならない、という公式見解が述べられています。なので、試用期間内の解雇であっても、試用期間外と同様、きちんと労基法の定めに従って、解雇手当の支払い義務の有無を判断し、有った場合は妥当な額で支払いを行わなければなりません。

都市伝説その2:試用期間中の新入社員に対しては、社会保険加入不要、退職金の積み立ても不要

その1と同じ理屈で、労基法に定めがない限り、勝手に新入社員の権益を損なうような取り扱いを取ることはできません。従って、その他正社員が有する社会保険の加入や退職金の積み立て等の福利厚生は、試用期間中の新入社員に対しても保証してあげなければなりません。

都市伝説その3:試用期間ではなく、3ヶ月間の定期契約にしたら、契約満了時に解雇手当の支払いが不要に!

一部の国ではこういった対応方法が通じるかもしれませんが、台湾においては、業務内容に「継続性」が認められるポストは、定期契約で従業員を雇い入れることができないとの定めがあります。(労基法第9条)業務の性質に、一時的、期間が短い、繁忙期と閑散期の差がはっきりする、若しくは作業期間が限定的、といった特徴がなければ、原則として定期契約が実施不可となっています。従って、一般の事務スタッフや営業スタッフ等を雇用する際に、定期契約の使用は法律上無効とみされる可能性が高いので、ご留意ください。

じゃ、試用期間の設定に何かメリットある?

試用期間内での解雇に解雇手当の支給義務があります。(懲戒解雇を除く)試用期間中は社会保険の加入、退職金の積み立てもしなければなりません。試用期間の設定にあまりメリットを感じないように思うかもしれませんが、実はそうでもございません。台湾労働裁判の判例では、試用期間中にあった労働者は、その他正社員と比べたら、労働関係における立場はやや異なりまして、法律上での取り扱いについては、柔軟性をもってこれを対処する必要がある、という風なちょっと難解な見解が示されています。それはつまり、試用期間内の解雇は、雇主の立証責任は比較的に軽いと解釈することができます。通常、何回も面談を行い、配置転換を行ってなお好転の兆しを見せなかったら、やむを得ず解雇を実施したりしますが、試用期間内では、それほどせずとも解雇ができるわけです。ただし、立証責任が比較的軽いといっても、全く立証不要というわけではございませんので、新入社員が不適任である、については、しっかりと裏付けを取ってから解雇を実施することが望ましいでしょう。

Attention!

※こちらの文章は2021年7月12日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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