再就職休暇?!なんだそれ?

この間はコロナの関係で、売上がどん底に落ち込んでいます。このままでいくと、社員への給与支払いは勿論、店の維持さえままならない状態でして・・・大規模な人員整理とは言わず、一部の社員に退職してもらうという苦渋な選択をしなければならないようです、と雇主から言われた瞬間、ほとんどの社員の顔に落胆の表情を見せていますが、明君一人だけ明るい表情を顔に浮かべながら、”それなら私をクビにしてください、そんでもって明日から再就職休暇を取らせてください”と言っていました。再就職休暇?!なんだそれ?

◎1週間に2日!

台湾の労働基準法では、解雇の予告通知を受けた翌日から、1週間にMAX2日間の再就職休暇を取得し、就活に励むことができます。(労基法第16条第2項)また、残された在職期間が1週間足らず、例えば3日、4日の場合であっても、MAX2日ルールは引き続き適用可能となります。(つまり、3日のうちの2日、4日のうちの2日を再就職休暇にする)もし1日しか残されていなかったら、当該1日を再就職休暇日として取得する権利は、予告解雇の社員にあります。しかも、再就職休暇は「有給」だと労基法に定めがあったため、月次給与から休暇相当分の日割り給与を差し引くことができないことを留意しておきましょう。

◎予告通知しなければ=再就職休暇取れず?

解雇の要件は予告解雇(労基法第11条)に合致したにもかかわらず、再就職休暇を取らせまいと予告通知しない、との対応方法は非常にシンプルで分かりやすいですが、法律上はNGとなります。労基法第16条第1項では、社員の勤続期間が3ヶ月以上1年未満の場合は10日前、1年以上3年未満の場合は20日前、3年以上の場合は30日前もって、予告解雇を実施しようとする会社が予告通知を行う必要があるとの定めがあります。そのため、「予告しなければ休暇なし」との方程式は原則として成立しません。事業主にとって一番要注意のは、「〇〇日前もって」との一文が表すのは、”最低これぐらいの日数条件を守ってください、それ以上の日数なら勿論OK!”とのコンセプトなので、どうせならと思い、対象社員に対して例えば40日、50日前もって解雇通知をしてしまったら、”再就職休暇の取得要件がその場で成立し、その間はずっとMAX2日ルールの適用対象なのでは”、と元社員から要求されてしまう可能性があります。労働部の公式見解では(労働部オフィシャルフェイスブック2020年1月9日付の投稿)、前述の事例だと、労使双方が誠意をもって、対応方法について協議のうえ決定することが望ましい、となっています。しかし、予告解雇を実施しているぐらいですから、労使関係が穏やかでない可能性が大きいと思われます。そんなシチュエーションのなかで、平和的にあんな協議を行うことにあまり現実味がありません。リスクを避け、きちんと日数をカウントしてから予告通知を行いましょう。

◎再就職休暇を取らなかったら会社に買い上げ義務?

年次有給休暇を使いきれない状態で退職した場合は、会社がそれを買い上げたうえ、その他解雇手当等とともに清算して支払わなければなりません。(労働基準法第38条)では、再就職休暇を全く使わない、若しくは取れる分の半分ぐらいしか取得しておらず退職した場合は、会社は当該元社員に対しては、年次有給休暇と同じように買い上げ義務を負うかというと、台湾の労働法にはそのような定めがないため、買い上げするかについて会社は任意に決定できる形となります。再就職休暇まで買い上げる会社さんがいらっしゃったら、優良企業として政府に表彰されてもおかしくないかもしれません(笑)。

Attention!

※こちらの文章は2021年7月16日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。


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