無料の宝くじである統一発票にまつわる役立つ質問6選!

もしかして1,000万NTDが当たるかもしれない台湾の統一発票は、何故「統一」がつくのでしょうか?中国との関係が原因なのか、それともあのビッグなグループ企業が関係しているのか?

「統一発票をください」、「今日は統一発票の抽選の日だね、200万NTD当たるかな」というように、統一発票という単語は日常的コミュニケーションで普通に使われており、少し違和感のある統一がつく理由を特に考えもしないかもしれません。

また、通常の宝くじならお金で購入しなければなりませんが、買い物したらただでもらえる統一発票は、なぜ宝くじと同じ抽選に参加できるのでしょうか。しかも賞金額は最高1,000万NTDというチャンスがあり、台湾政府は太っ腹すぎるのでは?的な疑問もふとしたときに頭をよぎったりするのではないでしょうか。

何か品物を購入したら発票を自動的にくれるかと思いきや、「毎度あり」の一言のみ返ってきて、発票を要求してみれば、「うち発票関係ないっす」と言われた。

店からこういった対応をされる場合、理由がわからず困惑していた経験をお持ちの方も少なくないようです。

今週のマサレポは、ちょっとした手続きをすれば500NTDの〇〇限定賞が当たる方法、発票が当たっても賞金が出ないケースの紹介を含め、当たり前のように感じるが、実際謎めいた設定が割と多い台湾の統一発票について、解説していきたいと思います。

質問No.1―何故「統一」発票?

統一発票の制度は1950年に作られ、翌年の1951年から施行した。当時、台湾と中国の間ではまだまだ小規模な小競り合いが少なかったので、勢いをつける意味合いで台湾政府が発票の前に「統一」を付けたのではないか?

的な都市伝説がたまに耳に入ったり、

「統一」発票(7-11台湾での経営権は統一グループが保有)があるなら「ファミマ」発票があってもおかしくないね

のようなどこから突っ込んだらいいのかわからない発想もあったりします。実は、統一発票の「統一」は、海峡両岸関係と特定の企業グループとも関係ありません。それは、台湾企業の法人番号である8桁の「統一番号」を表すための「統一」です。

統一発票の要記載事項は、取引の日付、商品の品名・数量・単価などオーソドックスな情報のほか(統一発票使用弁法第9条)、発行元の企業統一番号も記載必要とされますので、「統一發票」というネーミングができあがったのだとされています。

また、統一發票が登場する前の時代では、事業者の数だけ領収書の種類があるといっても過言ではなく、効率が悪くビジネスの邪魔にもなったりするから、領収書のフォーマットを統一する意思表示として「統一發票」がリリースされました。領収書の様式を「統一」する、との意味合いも発票のネーミングに込められたそうです。

質問No.2―何故統一発票が「必要」?

ビジネスの世界で流通する領収書の様式を統一する機能もありますが、統一発票が誕生する主な理由は脱税の防止です。

台湾の中小企業は現金商売が多く、脱税する意図で収益を過少申告したり、全く無申告したりするケースは少なくありませんでした。税金のごまかしに関してはもちろん罰則規定が設けられていますが、立証責任のある税務当局がそれらしい証拠を把握しなければ、罰則もあってないようなものであって、いかんせん足がつきにくい現金商売が主流な時代なので、その辺はどうにもなりませんでした。こういった脱税行為を何とかしようとして考案されたのは統一発票の制度でした。

統一発票の発行を義務付けられるのは事業者なので、事業者がそれを自主的に発行しなければ元の木阿弥になるバグを補う対処法として導入されたのが、宝くじのコンセプトでした。

同じ買い物するなら、賞金が当たる宝くじを商品とは別にもらえることに越したことはない、という消費者の心理を利用した統一発票制度が大当たりしました。店から発票が出ないと、お客さんがそれを要求し、お客さんの機嫌を損なうのがご法度だから発票が出る、という方程式が成立し、脱税行為はそれによってだいぶ抑えられる形となりました。

質問No.3―何故統一発票が「出ない」?

マクドでサラダセットを購入すると発票がもらる。ファミマでドッグフードを買っても発票をくれる。しかし、家のはす向かいにある店で大好きなカキ入りそうめんを食べるときは発票が出ない。その理由は何なのか?

統一発票を発行しない=店が脱税する、と結論付けるのは早急です。ルール上、月次の売上が20万未満の事業者は、発票を発行しなくてもよいとされており(営業税法第32条営業税法施行細則第9条)、店のなかで黄色い「統一発票使用免除」のステッカーが貼られるのが当該事業者の特徴です。

一方、連日長蛇の列ができる一部の人気店からも統一発票が出ないケースがあったりしますが、月次どころか、1日の売上でも優に20万NTDを超える店なのに、発票が免除になる理由は何故かと言えば、そのような店は、法律上特例扱いの飲食店に該当するからです。

月次の売上が20万NTD以上であっても、統一発票の発行は免除になる飲食店には、豆乳、氷菓、お菓子、ラーメン、スペアリブ丼、弁当などの専門店が対象とされます(台財税字第0890452799号解釈通達)。こういった店は、たとえ毎月すごく驚異的な売上をたたき出しても、原則として発票の発行は必要ではありません。ただし、前述の飲食事業者がチェーンストアやフランチャイズを展開したり、インターネットを通じで商品を販売したり、座席管理又はオーダーシステムを導入したりする場合は、統一発票の発行義務が発生してまいります(特例事業者統一発票使用作業要点第4点)。(店の統一番号を入力すれば、統一発票使用義務の有無をチェック可能なサイトはこちら

ちなみに、前述した統一発票を発行必要かどうかの基準は「個人事業主」が対象とされており、法人格を有する会社は、売上規模を問わず統一発票を発行しなければなりません。

質問No.4―当たったのに、何故賞金が「出ない」?

対象期間を間違えたりする自己責任問題を除き、統一発票の番号が当たったら、大体問題なく賞金を受領可能です。しかし、法律上いくつかの例外が定められていることは要留意です

  • 消費額記載なし
    • 商品券やポイントカードなどで買い物したら、現金支払いが伴わないので、消費額が記載されていない、もしくは0NTDと記載される発票を店からもらいます。そのようは発票は抽選に参加できません。
  • 発票が破損
    • 発票が衣類とともに洗濯機に入れられたり、サーマルペーパーで印字された電子式発票は文字が消えたりした場合も対象外にされます。
  • 会社統一番号入り発票
    • 会社に経費精算を行うためには、統一番号を発票に記載するよう予め店に伝える必要があります。こういった会計帳簿を付けるためのエビデンスとして利用される発票は、たとえ当たっても賞金は出ません。ただし、弁護士事務所や会計事務所などの統一番号が記載される発票は、引き続き抽選に参加可能となります。なぜなら、士業は通常の会社とは違い、営業税の仕入れ税額控除制度を利用できないからです。
  • 買い手情報に修正の跡
    • 会社に経費を精算したら拒否されたから、抽選に参加しようと、発票に記載された統一番号を修正液で消したりする場合もNGになります。
  • 無効化された発票
    • 発票に記載した顧客の買い上げ金額を1桁でも間違えたりすれば、当該発票を法律に定められた方法で無効化処理しなければなりません。発票が無効にされたら、抽選に参加する資格もおのずとなくなります。
  • 税率が0%の発票
    • 澎湖島や金門島など買い物で入手する営業税免税の発票は抽選に参加できますが、税率が0%と記載される発票は対象外です。
  • まとめて発行する発票
    • 1回あたりの税込み販売額が50NTD未満の事業者は、取引するたびに発票を発行する必要はなく、1日1回のまとめ発行でよいとされています。このような発票も賞金が出ません。
  • 追加発行する発票
    • 発票の発行漏れや販売額を過少記載した発票を発行し、国税の調査で当該事実が発見され、それを是正するために追加で発行する発票は抽選参加対象外になります。
  • 買い手が指定対象の場合
    • 政府機関や国有企業、公立学校、軍隊、営業税課税事業者が買い手の発票は、抽選に参加できません。
  • 支払期限切れ
    • 発票賞金の受領期間は当選番号発表の日の翌月6日から3カ月以内とされており、それまでに受領しないと、賞金が時効当せん金になってしまいます。
  • 税金の還付を受けた場合
    • 外国人旅行者が台湾で対象となる商品を購入すると、営業税の還付申請を行えます。還付を受けたら、当該発票は抽選に参加する資格がなくなります。

上記とは別に、正当性を欠く手段で、1~2NTDなど少額な発票を大量に取得し、かつ当たる発票が当期内で一定の枚数に達したら、賞金も没収されます(統一発票授賞弁法第15条)。

今まで、セルフ給油でわざと1NTDのガソリンを繰り返し購入したり、スーパーで2NTDのレジ袋を頻繁に購入したりすることで、発票賞金を狙い定める手法は、上記ルールの施行により、もはや使えなくなりました。

質問No.5―「500NTD」の限定賞が当たる方法とは?

統一発票の発行に専用の紙が要ります。台湾全国毎日の取引本数を考えると、それによって消費される枚数が相当な量になっており、サステナビリティやエコを重視する今のご時世においては、「何とかしなくては」的な問題とされています。本件への解決策として、台湾の財政部が強く勧めているのは、統一発票の一元化にと賞金自動振込等うれしい機能を満載する、政府発の統一発票アプリの利用です。

前述のアプリを携帯にインストールし、個人のアカウントを作成して、お会計するときに同アプリにあったバーコードを店に提示すれば、統一発票を電子データとしてクラウドにアップロードされます。そして、2カ月に1回当選番号が発表されたら、発票アプリはクラウドで保存される発票が当たるかを自動的にチェックしてくれて、当たると、事前に設定した個人の銀行口座へ賞金が入金される仕組みです。

ペーパーレスだから環境にやさしい、手間が省ける自動当選確認機能が付く点は、あくまでも発票アプリの基本要素です。発票アプリの一番の魅力は、レギュラー賞とは別に、クラウド発票限定の100万NTD賞、2,000NTD賞、800NTD賞、500NTD賞が当たるチャンスが与えられる点です。

発票が紛失する心配もなければ、支払期日が過ぎて賞金が受領できなくなる恐れも生じず、なおかつ500~100万NTDの賞が追加で当たるチャンスもゲットできるから、発票アプリの利用は大変おすすめです。

質問No.6―賞金が当たるときの税金は?

統一発票の賞金は免税ではないけど、個人所得税の超過累進税率も関係なければ、居住者と非居住者を分けて別々で税金を計算する必要もなく、計算上は非常にシンプルです。

所得税法によると、統一発票が当たったら、国籍を問わず、賞金総額から20%の税金が差し引かれるとされています(所得税法第14条)。ただし、賞金額が5,000NTDを超えない場合、税金が免除になります。一番嬉しいことに、年間の個人所得税を計算する際に、賞金はその他所得に合算する必要がないので、余計な税負担が発生しません。

また、税金を考慮する場合、いやでも所得税のほうにフォーカスしてしまいがちなんですが、実は、統一発票の賞金は所得税のほか印紙税もかかるルールとなっています。

印紙税法によっては、統一発票の賞金額が1,000NTDに達すると、総額×0.4%の印紙税を納付必要とされています。従って、三等賞の1万NTDに当たったら、所得税として2,000元(賞金額×20%)が差し引かれるほか、40NTD(賞金額×0.4%)の印紙税も取られる計算となっています。ただし、発票アプリでクラウドにアップロードした発票が当たって、自動振込機能で賞金を受領する場合には、印紙税が免除になります。節税できる点も、発票アプリの大きなメリットの一つとなりましょう。

今週の学び

今回のマサレポをご覧になっていただいたら、

今まではただぼんやりと2カ月に1回、手元の発票をとって当選番号と照合したりしてきましたが、よもや細かい設定がこんなにもあるとは

的な感想を抱くようになりませんか。一見ごく普通な公的領収書である統一発票なんですが、突き詰めていくと、ちょっとした奥ゆかしさを発見できるのが発票の面白さです。では、今週の学びです。

マサレポ、今週の学び

  • 統一発票の統一は「会社統一番号」の統一です。
  • 発票の宝くじ機能は事業者に対する脱税防止の対策です。
  • 月間売上が20万NTD未満又は特例扱いの飲食事業者は統一発票を発行不要です。
  • 当たっても発票賞金が出ない11種のケースは要留意。
  • 賞金に当たる確率を上げる方法として発票アプリが活用されています。
  • 発票賞金が定額を超えると所得税と印紙税両方がかかります。

ATTENTION!

※本マサレポは2023年2月27日までの法律や司法見解をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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