もしかして使えるかもしれない、台湾個人所得税の節税対策!

4月に入って、あっという間に4連休が終わりました。そしてあまり歓迎されない、大幅な現金流出につながる個人所得税の確定申告が5月に控えています。

物価指数が著しく上昇することを鑑み、政府はこの間、個人所得税における基礎控除額、みなし控除額、給与所得特別控除額といった減税項目を引き上げてくれたのはありがたいんですが、減税効果が得られるのは、来年、2023年の5月に行う確定申告なので、当面の間、去年と同様な税額控除メニューしか選択できない形になりそうです。

諦めたら、そこで無駄な税金を支払わされますよ。そう、今週のテーマは、去年の後半から嵐のように続いている就業許可の更新ラッシュ、及びあまたな税金還付の申請案件に乗っかる形で、いまさらながら、外国籍特定専門人材優遇税制に関する知ってお得な情報をお届けしたいと思います。

年収300万新台湾ドル超、との適用要件はやや難点ですが、将来における金額要件が引き下げられる可能性、若しくは昇給を視野に入れる観点で、今から情報収集をしておくのもよいかもしれません。

本文の最後は、本件節税対策に関する誤解しやすい点への解説もさせていただきますので、是非参考にしてください!

外国籍特定専門人材優遇税制の実施期間

外国籍特定専門人材優遇税制の誕生日は、「外国籍専門人材の招へい及び雇用法」の施行開始日である2018年2月8日です。

施行当初は、3年間しか節税できないルール作りとなっていましたが、ウィズコロナの時代においても、引き続き優秀な外国人にどんどん台湾へ来てほしい気持ちの表れとして、政府は2021年7月7日の同法改正で、節税可能期間を3年から最大5年に引き上げてくれました。(同年10月25日に施行)従って、2022年現在の節税可能期間は5年です。

ちなみに、外国籍特定専門人材優遇税制の誕生年である2018年から2020までの3年間、既に本件節税効果を享受していた外国籍特定専門人材は、所定の要件さえ満たせば、シムレス的に法改正後の恩恵を被ることができます。つまり2021、2022年においても、過去3年間同様な節税ができるわけなので、対象となる方は、残り最後2年間の確定申告においてもしっかりとお得を取りましょう!

節税可能期間の5年は、何時から計算するのか?

外国籍特定専門人材優遇税制の適用要件を満たすことを前提に、対象となる外国人が、1暦年での台湾居住日数が満183日で、かつ当該1暦年で受領する給与所得が300万新台湾ドルを超えたら、5年間の計算は、同暦年からスタートするとされています。

また、節税可能な5年間は、起算年度からの連続5年間が対象となり、その間、年間居住日数が183日未満となったり、年収が300万新台湾ドルを割ったりする年度があったら、当該年度をご都合主義的に飛ばして計算することはできません。

いくつか事例を見てみましょう。

マサ君

私、2021年初に特定専門人材の就業許可を入手し、同年3月に台湾へ渡航。台湾到着後一時帰国しておらず、一生懸命仕事に取り組む姿勢が本社に買われ、2022年からの年俸は299万から301万新台湾ドルに引き上げられました。

ヒロ君

楽しく台湾で働くマサ君の話しが耳に届き、本社を説得し台湾駐在決定。訪台前に特定専門人材の認定を受け、駐在手当を含め年俸305万新台湾ドルからという、滑り出し上々な2022年前半に訪台。にもかかわらず、2023と2025に為替レートが滅法不利になって、本国払い給与を新台湾ドルに換算したら例年比30%DOWNしたため、同2年の年俸を計算したら285万新台湾ドルでした。

どのような外国人は、外国籍特定専門人材に該当するのか?

台湾にて専門業務に従事する外国人のうち、経済、金融、文化芸術、建築、国防、法律、テクノロジー、教育、スポーツその他専門領域における専門技術を有し、又は主務機関から個別認定を受けた特殊なスキルを有する者は、外国籍特定専門人材に該当するとされています。

また、専門業務とは、以下のような場合を指します。

  • 専門性又は技術性を有する業務
  • 一定の要件を満たした外資系企業の管理職
  • 一定の要件を満たした学校教師
  • トレーナー又はスポーツ選手
  • 宗教家、芸術家又は芸能人
  • 政府機関又はそれに所属する学術機構の顧問又は研究者
  • 台湾の教育部(日本の文部科学省に相当)の認定を受けて、公立大学又は指定を受けた私立大学にて講義を行ったり、学術研究を行ったりする者
  • その他

上述した要件を見ても、なおはっきりしないと思うのであれば、実は、外国籍特定専門人材に該当するか一発で分かる方法があります。それはズバリ、台湾の労働部又は教育部が発行する外国籍特定専門人材の就業許可、又は就業ゴールドカードを持っているかどうか、との点をもって外国籍特定専門人材であるかを判断したら分かりやすいです。

就業ゴールドカードの入手方法については、以下URLにてチェックしてみてください。

外国籍特定専門人材に該当すれば、本件優遇税制を必ず適用できるか?

外国籍特定専門人材の就業許可又は就業ゴールドカードを入手したら、外国籍特定専門人材に該当することは間違いないから、これから節税活動に精を出しましょう!と考えたらいささか早計です。

外国籍特定専門人材という第一関門をクリアしてから、次3つの関門も悉く潜り抜けるかによって、本件節税資格の有無が決まります。

  • 初めて就労関係で、台湾の在留資格が許可されること。
補足君

こちらの関門は、「就労関係」であるかどうかがポイントであり、過去において、留学又は家族滞在の在留資格で、台湾で居住していたかは問わないものとされています。

  • 認定を受けた専門技術に関する業務を台湾で従事すること。
  • 就業許可の発効日又は就業ゴールドカードの取得日前5年内において、戸籍を置くことなく、かつ台湾の居住者に該当しないこと。
補足君

台湾の居住者に該当するかどうかの判定については、戸籍を台湾国内に置いていない外国人だと、1暦年(1/1~12/31で計算)においての台湾居住日数が通算183日に達するかをもって判断するルールとされています。183日になったら、台湾の居住者に該当します。

外国籍特定専門人材優遇税制を利用したらどれぐらい節税できるか?

外国籍特定専門人材優遇税制に用意されている節税特典は、主に以下2つになります。

  • 1暦年で受領する給与所得合計額で、300万新台湾ドルを超えた額の50%が非課税とされます。
補足君

節税対象となる給与所得は、日本又は台湾から支払を受けるかは原則として問われませんが、「特定専門人材」と認定される専門技術をもって稼いだ対価以外の所得、例えばスポーツ選手が夜市でたこ焼きを販売して得られた収入は、節税の適用対象外とされます。

  • 1暦年で受領する、台湾源泉所得に属さない海外所得は、台湾ミニマムタックスの課税対象外とされます。(※台湾源泉所得に属する日本払い給与所得は海外所得に該当しないので、留意しておきましょう)

具体的にどれぐらい節税可能かについて、2021年に600万新台湾ドルの給与所得を取得したシングル駐在員を例に以下表を作成しました。

外国籍特定専門人材優遇税制を利用することで、約52.62万新台湾ドルの節税ができたとの計算であり、相当インパクトのある金額なので、利用できるものなら、とことん利用すべきです!

外国籍特定専門人材優遇税制を適用しようとする方法

本件優遇税制を申請するタイミングは、原則として個人所得税の年次確定申告を行うとき、もしくは本国帰任日までの確定申告を行うときになります。申請する際、以下書類を管轄の税務当局への提出が要求されます。

特定専門人材就業許可の所持者

  • 所得税減免申請書
  • 台湾居留証のコピー
  • 特定専門人材就業許可のコピー
  • 認定を受けた専門技術に関する業務を従事することを証明可能な雇用契約書その他証明書類

就業ゴールドカードの所持者

  • 所得税減免申請書
  • 就業ゴールドカードのコピー
  • 認定を受けた専門技術に関する業務を従事することを証明可能な雇用契約書その他証明書類

もしかして使えるかもしれない、台湾個人所得税の節税対策!

「外国籍特定専門人材に該当すれば、本件優遇税制を必ず適用できるか?」の段落において、本件節税方法を活用する要件の一つに、初めて就労関係で、台湾の在留資格が許可されること、との点を取り上げました。そして、要件の認定上、台湾での就労活動が初回であるかどうかがポイントなので、以前台湾へ留学したり、台湾で野球試合を行ったりすることで、台湾で居住した経歴があっても問題ではありません。

"では、3年ほど前、駐在員として台湾へ赴任した当初、外国籍特定専門人材という制度の存在が分からなかったため、一般的な外国籍専門人材の就業許可のみ申請しました。最近になって、特定専門人材の話しを聞いて、認定を受けたらすぐ通るとは思うが、2回目の就業許可申請であり、「初めて就労関係・・・」という要件を満たさないから、惜しいだが、外国籍特定専門人材優遇税制を諦めるしかない。"

と考えている方は少なくないかもしれません。

実際のところ、「初めて就労関係で、台湾の在留資格が許可されること」との要件は、初めて就業許可を入手する、ということを意味するのではなく、初めて台湾に駐在したり、台湾で仕事をしたり、台湾で起業したりするかが判断基準となっています。

従って、手持ちの台湾就業許可は初回申請したものか、それとも1回、2回の更新を経たものかを問わず、台湾駐在初体験、台湾起業第一弾なのであれば、特定専門人材の就業許可又は就業ゴールドカードその他証明用の契約書を税務当局へ提出することができれば、本件節税の恩恵を被ることは理論上可能です。

また、本件優遇税制の情報を知らず、既に2、3年間確定申告を行って納税もしていた隠れ特定専門人材の方は、今からでも遅くありません。手持ちの就業許可を特定のやつに更新すれば、今まで過剰に納付した税金の還付を受けられる可能性があります。

果たして本件節税ができるかどうかお悩みの方は、必要に応じて、何時でもマサヒロへご相談ください!

Attention!

※本稿は2022年4月6日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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