「内容証明郵便が届いたけど、どう対応したらよいか」―台湾における内容証明郵便についての基礎知識を大公開!

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同じ郵便局から送られてきた文書なんだが、受け取ったのは通常の「手紙」か、または「内容証明郵便」かによって、中身をチェックしたときの感想はがらりと変わったりします。後者を受け取った人は、一波乱を予感させられる気持ちを抱えながら、急いで弁護士事務所へ相談しに行くケースは少なくありません。

一方、他人から被害を受けた場合、スネ夫が言うように、内容証明郵便を加害者に送付したら、警察が直ちに制裁してくれるなど何らかの抑止力が発動される、という考え方も持たれたりします。

果たして、台湾において内容証明郵便がどういった効果を有するのか、それを受け取るとどう反応すればよいかについて、内容証明郵便の基本設定を紹介しながら解説していきたいと思います。

いわゆる「内容証明郵便」とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明する制度です。郵便局が証明してくれるのは、前述のような客観的な事実のみであり、差出人が文書に書いた主張、声明、または警告などが本物かどうかは証明対象外とされます

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また、「内容証明郵便」というサービスは郵便局の専売特許とされるため、FedExやDHL、UPSなどを利用して、インターネットからダウンロード可能な内容証明郵便のフォーマットで相手に伝えようとする内容を書いて送っても内容証明郵便の効果は発生しません。留意が必要なのは、送り先が海外であれば、内容証明郵便のサービスが利用できない点です。

前述べたように、内容証明郵便で証明できるのはWhen、Who、Whatなどの客観的な事実のみであり、文書に記載された内容の信憑性はそれによって立証されたわけではありません。そうすると、わざわざ面倒くさいフォーマットに則って文書を作成して、別途料金を支払って内容証明郵便サービスを利用せずに、通常の書留郵便でもよくない、との声が上がったりするかもしれません。

実は、内容証明郵便は、通常の書留郵便とは一つ大きな相違点があって、当該相違点はまさに内容証明郵便に付与された最大なメリットと言っても過言ではありません。それが、「証拠保全の機能」です。

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お金を借りっぱなしになっている知人に、「返金してくれ」と要求したり、代金をとっくの昔に支払ったけど、いつまで経っても商品を出荷してくれない取引先に契約解除の通知をする場合などは、Eメールやチャットアプリなどで行うケースが多いです。しかしながら、債務者または取引先から「結構前からEメールとチャットアプリを使っていないから、何ら連絡を受けていないよ」と言われたら、返金要求や契約解除の意思表示の通知が相手に到達していない形となり、債権の催促や契約解除の効果が生じないという残念な結果となります。

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一方、内容証明郵便はEメールやチャットアプリとは違って、いつ、誰に、どの住所へ通知文書が送られたなどの情報は郵便局に保存されているため、相手が一度それを受け取ったら否定できなくなるという、比較的強い証拠能力を発揮してくれます。

一方的に契約を解除したり、借金の返済遅延に伴う遅延損害金を請求し始めたり、そろそろ請求しないと消滅時効の効果により請求権がなくなる商品代金を請求したりするときは、内容証明郵便は欠かせない必須アイテムと言えましょう。

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そのほか、受取人はそれによって刑務所に送られることはないが、誹謗中傷した加害者、もしくは長らく待っていても水漏れが発生した賃貸物件を修繕してくれない大家を相手取って刑事訴訟、民事訴訟を提起する前に、内容証明郵便を先方に送ると、「もしかして訴えられるかも」と気付き、能動的に詫びに来たり、ようやく重い腰を上げて修繕作業に取り掛かってくれるなど、ちょっとしたけん制効果が得られる可能性もあります。

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適当なA4サイズの用紙に受取人に伝えようとする要件を書いて、郵便局に出向き「こちらの書類を内容証明郵便として送ってほしい」と窓口の方にお願いすればOK、というわけにはいきません。

内容証明郵便サービスを利用するためには、一番オーソドックスなやり方として、まず郵便局から、内容証明に使う用紙を少なくとも3通ぐらい購入し、事実関係を順序よく記入のうえ、「いついつまでに〇〇を行ってください」など、日付情報(例えば〇年〇月〇日までに返金してくれないと、〇年〇月〇日から年利〇%の遅延利息を頂戴する)や相手に伝えようとすること(例えば解約を解除するのか、それとも解約するだけなのか)を誰が見ても誤解が生じないほど明確に書いて、受領証付書留との形で送ってもらうよう郵便局に依頼する必要があります。

また、内容証明郵便は、文書に書いてあった内容が事実であるかどうかは検証されないため、内容証明郵便サービスの依頼を受けた郵便局の担当者は、明らかな誤植または日付の記入間違いがないかのみチェックしてくれます。手間暇かけて作成した内容証明郵便の機能が損なわれないよう、「会心の一撃になるような内容」を確実に書いたことを再三確認しましょう。

パソコンが登場して以来、書き間違い(1ページに20文字以上の書き間違いがあれば無効になる)がどうしても生じる手書き方式の代わりに、郵便局のHPから専用フォーマットをダウンロードしてパソコンで作成・印刷した文書を郵便局へ持っていて、内容証明郵便で依頼したり、郵便局に出向かずにインターネット経由で内容証明郵便を送ったりする方法も活用されつつあります。どちらの方法を採択しても、差出人の保存分と、相手がそれを受け取った受領証を適宜保存しておく必要があります

内容証明郵便は、相手方郵送分・郵便局保存分・差出人保存分の3部構成となっています。従って、たとえ手持ちの一部を何等かの手違いで無くしたとしても、内容証明郵便を送ったときにもらったエビデンス、もしくは差出人を証明可能な資料を郵便局に提出し、少額の手数料を支払ったら副本を申請することができます。

しかし、郵便局の倉庫にはそれなりの容量制限があるので、内容証明郵便を永久的に保存してくれません。ルール上、郵便局は依頼を受けた日から3年間保存する義務があると定められており(郵便物処理規則第34条)、その間であれば何時でも副本を申請可能だが、差出日から3年経過した副本申請は受け付けてもらえない点は要注意です。

内容証明郵便を受け取ると、刑務所に送られたり、警察に捕まったり、個人の財産が差し押さえられたりする恐れがあると思い、相手が故意に受け取らないか、安易に返信すると変に揚げ足を取られる可能性があるから、内容証明郵便が相手に無視される場合もあります。実際、内容証明郵便はただの手紙の文章に強力な証拠能力を持たせる特殊な郵便物であり、警察や裁判所からの出頭命令とは違い、法的拘束力を有していないため、「内容証明郵便を受け取った」からといって、財産が強制執行されるとか、受取人が刑務所に収監されることにはなりません。

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しかし、受け取れる状態であるにもかかわらず、受取人がわざと送られてきた内容証明郵便を受け取ろうとしなかったり、文書に書かれた義務を履行すべき立場なのにあえて履行しないとして、事後差出人から訴えられたとき、「悪意のある回避」をしたと裁判所に認定され、訴訟において不利な局面に立たされる可能性もあります。

内容証明郵便には一切法的拘束力がないから、時間をかけて作成しないんで、直接相手を訴えたほうが効率がよいのでは?

ここまで読んできて、このような感想を抱いたりしないでしょうか。確かに、訴訟を提起するのに内容証明郵便は必須ではないので、それを飛ばして、裁判官の面前でタイマンを張るほうが決着が早期につく場合もあります。

実は、互いの法律関係を事前に清算してから訴訟に臨むメリットも結構あります。例えば内容証明郵便で、代理店との契約関係を解消する旨を伝え、違約金の請求を求める民事訴訟を起こしたり、会社に莫大な損失をもたらした従業員に対して、内容証明郵便で雇用関係を解約してから損害賠償の訴訟を提起する、というのは普通に活用されている訴訟戦略です。

自ら直面したトラブルにおいては、内容証明郵便を利用するメリットがあるかどうか、メリットがあるなら内容証明郵便をどのように書けば、これからの訴訟に役だつ材料となりえるかを悩んでいるようでしたら、遠慮なくマサひろんへお声かけください

マサレポ、今週の学び

  • 郵便局が証明してくれるのは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかといった客観的な事実のみであり、差出人が文書に書いた主張、声明、または警告などが本物かどうかは証明対象外とされます。
  • 送り先が海外であれば、内容証明郵便のサービスが利用できません。
  • 内容証明郵便はEメールやチャットアプリとは違って、いつ、誰に、どの住所へ通知文書が送られたなどの情報は郵便局に保存されているため、相手が一度それを受け取ったら否定できなくなるという、比較的強い証拠能力を発揮してくれます。
  • 内容証明郵便を送ったときにもらったエビデンス、もしくは差出人を証明可能な資料を郵便局に提出し、少額の手数料を支払ったら副本を申請することができるが、差出日から3年経過した副本申請は受け付けてもらえない点は要注意です。
  • しかし、受け取れる状態であるにもかかわらず、受取人がわざと送られてきた内容証明郵便を受け取ろうとしなかったり、文書に書かれた義務を履行すべき立場なのにあえて履行しないとして、事後差出人から訴えられたとき、「悪意のある回避」をしたと裁判所に認定される可能性があります。

ATTENTION!

※本マサレポは2024年11月9日までの法律や司法見解をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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