居住年数5年未満であっても台湾永久居留が可能に!
コロナの水際対策でビジネス関係でのビザ申請がなお許してくれない空気のなかであっても、優秀な外国人を台湾に引き留める要因を少しでも増やそうと、専門性を有する仕事を台湾で行って満5年になったら永久居留証が申請可能、との今までのルールを最短3年にするとの法改正を台湾政府が正式的に発効させました。しかもとっくの昔に公表された、法案が立法院を通過したり、三読可決されたりする、果たして使えるかどうかあいまい極まりない中途半端なやつではなく、今回こそ本格的に、3~4年との時短申請ルールが新たにできるようになりました!
現在、居留証を所持でなければ台湾入国ができない状態において、大変インパクトの大きいこちらの年数引き下げ法改正で、何ら条件もなくその恩恵を被れるか、それとも何か細かい条件をまず満たさなけば利用できない形なのかといった情報を含め、以下徹底解説とさせていただきます!
目次
実は、永久居留証の時短申請は法改正の前からありました
永久居留証の申請に5年が必要と言われて久しいですが、実は2002年に施行した改正出入国及び移民法にて、以下の要件を満たした外国人は、台湾での滞在履歴の長さに関係なく、何時でも永久居留証を申請できると定められていました。
- 台湾への特殊な貢献があった場合
- 台湾に必要とされる高級専門人材である場合
- 文化、芸術、テクノロジー、体育、産業界等領域において世界的に認められる実績を有する場合
1については、例えば叙勲条例によって叙勲を受けたり、政府の部会レベル以上の部署から賞状をもらったりするケースであり、2については、奨励産業における特別な専門技術を有したり、特殊な管理的ノウハウを有しかつ台湾国内では必要とされ希少価値があったり、国内外の大学で教授として務めかつ台湾の学術・研究機関に雇われたりする場合がその典型例となります。3の場合は、例えばオリンピック又はワールドカップで3等賞以上をもらったり、国の代表チームのコーチで選手を率いてオリンピック又はワールドカップで5等賞以上をもらったりするケースがそれにあたります。
前述の要件はいずれもハードルが高く、一般向けじゃないから、利用者は非常に限定されています。
また、2007年の改正入出国及び移民法では、もう一つ永久居留証の時短申請ルートが追加されました。それは、いわゆる地獄の沙汰も金次第スキームという、投資による永住権取得の方法になります。外国人停留居留及び永久居留弁法の第12条に定めた申請要件は以下の通りです。
- 台湾の法人に新台湾ドル1,500万元以上出資し、かつ5名以上の台湾人を雇用して満3年の場合
(※2008年は新台湾ドル3,000万元) - 中銀が発行した、額面金額が新台湾ドル3,000万元以上の国債を保有して満3年の場合
「お金で永住権を」という、いかにも資本主義らしい考え方なんですが、最初に書いてあった高等人材の申請枠と比べたら、別途主務機関への申請手数料新台湾ドル1万元がかかるほか、少なくとも3年間の実績作り(満3年ルール)が必要といった面から考えると、「目に見えるお金より、それ以上のお金が作れる人材がほしい」との思考が働いたかもしれません。ちなみに、投資の申請枠で永久居留証を取得した外国人は、その配偶者と未成年子女も同時に永久居留証を取得可能とも定められ(同法第15条)、その他の申請枠より優遇された一面もやはりあるわけですね。
一般的に知られる5年の通常ケース
台湾に連続して居住する満5年、かつ毎年での居住日数が通算183日超の外国人、若しくは10年以上台湾に居住し、かつそのうちの5年で毎年の居住日数が通算183日超の台湾人の外国人配偶者・子女は、以下の要件全て満たしたら永久居留証を申請可能となります(出入国及び移民法第25条)。(※漁撈や介護労働者、製造業の現場作業員は対象外)
- 20才以上であること
- 素性が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 台湾の利益に合すると認められること
3番については、果たしていくらの財産を有したら妥当と言えるかというと、以下3ついずれかを証明可能であればOKサインが出るとのイメージです。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 月次の平均賃金が台湾最低賃金の2倍超であること。
(※2021年の月次最低賃金は新台湾ドル24,000元) - 台湾国内で保有する動産と不動産の実勢価格が新台湾ドル500万元超であること。
- 高レベル以上の専門職及び技術者で政府から資格証明が発行され、又は乙級以上の技能検定証書を保有すること。
ちなみに、通常提出が必要とされる本国の警察証明(無犯罪証明)及び健康診断書については、5年間台湾での連続居住の間において、毎回の出国期間が3ヶ月を超えない場合には、同2つの書類が提出不要となります。本国の警察証明の入手に時間がかかるほか、中国語訳文をつけたうえ公認証を行わなければならないという、非常に手間暇かかるため、この点を考慮し、一回の出国でなるべく3ヶ月内に抑えることを念頭に置いておくことが大事ですね。
待ちに待った、2021年版改正後時短申請!
2021年6月18日に三読可決され、同年7月7日に総統によって公布された後、年末が近づくにつれてなかなか施行日の公表がなく、じれったいなと思ったら、いきなり10月25日に発効すると発表、ついに年内実現した緩和された永久居留証の時短申請とはどういったものなのかについて、嬉しい嬉しい変更点を以下共有致します。
- 「連続居住年数満5年かつ毎年での居住日数が通算183日以上」から「連続居住年数満5年かつ年次平均居住日数が183日以上」に緩和
- 「連続居住年数が満5年」から「”特定”専門人材であったら連続居住年数が満3年」に緩和
- 専門人材の就業許可の保有者で台湾で修士号を取得したら1年間、博士号を取得したら2年間、連続居住年数の緩和効果を享受可能。(5年→4年ないし3年)
- ”特定”専門人材の就業許可の保有者で博士号を取得したら1年間、連続居住年数の緩和効果を享受可能。(3年→2年)
- (特定)専門人材が永久居留証を取得後さらに(3)5年間台湾で連続居住しかつ年次平均居住日数が183日以上であれば、その配偶者、未成年子女も永久居留証を取得可能
永久居留証を入手したところで、何かメリットある?
通常の居留証の申請に、使用期限1年につき政府手数料新台湾ドル1,000元がかかります。一方、永久居留証の申請にいきなり新台湾ドル1万元がかかってしまいます。10年も台湾に居るつもりがないから、永久居留証を申請するメリットはちょっと考えられないなぁと思ったら、実は思わぬメリットがあるわけです。
●新台湾ドル5,000元相当分の消費券である5倍券がもらえる。
ウィズコロナ時代の経済振興策として、2020年7月15日から支給された3倍券は、同年11月16日になったら永久居留証所持の外国人も受領対象とされており、今回の5倍券もそれに踏襲するイメージで最初から永久居留証所持の外国人を対象にしてくれました。5倍券を使用したら別途店から商品券がもらえるキャンペーンを利用したら、政府手数料として支払われた新台湾ドル1万元のもとが取れる可能性大なので、5倍券を受領可能な最終日(デジタル決済手段と紐づけの場合)の2022年4月30日(土)までに頑張って永久居留証を入手しましょう!
●勤め先による就業許可の申請が不要で、居留証の更新も不要。
台湾企業が外国人を雇用するには予め就業許可を取得必要で、一回の申請で新台湾ドル500元の政府手数料がかかります。居留証の更新には、申請時同様、使用期間1年に付き新台湾ドル1,000元の政府手数料がかかります。一方、永久居留証の保有者は雇用主が決まっていない就業許可、いわゆる「オープンワークパーミット」を個人名義で申請することが可能で(就業サービス法第51条)、それによって、特定の会社に頼んで予め就業許可を申請してもらわずに済むし、3年に1回居留証の更新手続を行う必要もなくなります。そうすると、手数料節約のメリットが得られるほか、就業許可の申請と居留証の更新にかかる手間と時間もいらないし、居留証の更新忘れでオーバーステーになってしまうリスクもなしです!
●コロナ水際対策をかいくぐれる
台湾は今水際対策で、ノービザの入国は勿論、新規ビザや特別入国許可を申請しての入国も許していません。ただし、居留証持ちの外国人でしたら、台湾人同様な入国時における防疫措置を守れば入国は可能となっています。通常のケースですと、日本からの駐在員は台湾での出向を終え日本へ帰任したら、居留証の使用は前回申請時の期限までとなりますが、出向期間中に永久居留証を入手できたら、一定の要件を満たすとずっと保有できます。その場合、永久居留証保有している前代の駐在員は、新規ビザが発行されず新しい駐在員が台湾へ来られない状態においては、何時でも日本本社の命令を受けてピンチヒッターとして台湾へ来られます。有事の際に日本本社を助けられる観点で、永久居留証を申請することを検討していただけます。
●新退職金制度の強制加入義務
旧退職金制度だと、転職したら在職時に会社が積み立てしてくれた退職金が一切もらえなくなるのに対して、新退職金制度だと、転職するか否か、転職の回数に関わらず、所定の定年要件を満たしたら政府から一括又は月次ベースで退職金がもらえます。新退職金制度へ加入する権利は、永久居留証を取得時に強制的に付与されるため、退職金の受領権利がそれによって保証されます(※雇用途中で永久居留証を取得し、現職の会社に対して旧制度の維持声明書を提出したら例外的に加入不要となります)。
毎年台湾で半年ぐらい居ないと、永久居留証が取り上げられる?
その通りです!永久居留証の保有者は、毎年台湾での居住日数が通算183日未満であったら、海外留学や医療関係その他当局が特別許可した場合を除き、永久居留証は移民局から取り上げられてしまいます。(出入国及び移民法第33条第1項第4号)
ただし、以上はあくまでも原則的なルールです。専門人材、特定専門人材(日本からの駐在員や台湾での日本起業者は大体こちら2種類です)、又は高級専門人材に該当すれば、5年に一度台湾へ入国しましたら、一生台湾の永久居留証を保有できる(外国専門人材招へい及び雇用法第19条)、という特別な例外措置も用意されています。ですから、183日の都市伝説を恐れず、どんどん永久居留証を入手しておきましょう!
その他留意点
永久居留証の発行申請について、一般的に認識されている5年ルールのほか、以下、予め気を付けておいたら損しない関連規定があります。
永久居留証の申請に関する留意事項
- 台湾国籍を有する二重国籍者は申請不可。
- 永久居留証申請の一次審査終了後、審査担当官の判断で申請者面談を行う場合があります。正当な理由なく面談を拒否する場合には申請案件が却下されます。
- 高級専門人材や投資の申請枠を利用する申請者を除き、居住年数が満(3)5年かつ183日ルールを満たした日から2年内に、永久居留証の申請をしなければ申請資格がなくなります。
- 5年に一度も台湾入国しない場合のほか、1年以上の有期刑を言い渡されたり(過失罪を除き)、台湾国籍の取得や回復等の状況が生じたりすれば、永久居留証は取り上げられます。
- 永久居留証を保有する外国人を雇用するには、会社側では就業許可を申請不要ですが、永久居留証の所持者は予め個人用のカード式就業許可証を申請する必要があります。(勤め先に縛られない転職しても使用可能な許可証)
- 永久居留証の申請要件の一つである「素性が善良であること」については、今まではっきりとした判断基準が設けられておらず、審査官個人個人の判断によってなされてきました。比較的客観な判断基準を導入しようと、台湾の内政部は今「外國專業人才申請永久居留無不良素行認定標準」の草案を予告中であり、2021年12月24日で予告期間終了となります。一般的に認知される刑事責任が問われた場合のほか、台湾籍の子女への扶養義務を履行しなかったり、台湾籍の配偶者に暴行を加えたりする場合は、素性が善良でないと認定され、永久居留証の申請が許可されない形となります。
- 永久居留証の申請手数料である新台湾ドル1万元は、現金のみならず、クレジットカードの決済も可能となりました。還元率の高いカードを使ったら少しキャッシュバックの効果が得られます。
終わりに
以上のように、永久居留証についての最新緩和措置をはじめ、183日ルールにまつわる都市伝説やいくつかの要注意点を共有させていただきました。外国から優秀な人材を極力に吸い取ろうと、永久居留証の申請に関する政府からの更なる緩和も期待できそうです。
近い将来、もしかして政府から配られる8倍券、10倍券の受給権の確保や、都度都度居留証の更新が面倒くさく一度に期限なしのやつを入手しようと、永久居留証をできるだけ早く入手することに越したことがないとの考えもあり得ましょう。本稿は少しでもお役に立てたら嬉しいです。
Attention!
※本稿は2021年11月25日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。