安西先生…!! 台湾入国ビザがほしいです……
台湾はコロナ水際対策を強化する関係で、一部の例外を除き(留学生、台湾人の外国人配偶者及び未成年子女、インドネシア籍労働者、台湾居留証所持の外国人)、コロナ前のノービザ入国ところか、台湾労働部が発行する就業許可をもってしても、特別入国許可付きの居留/停留ビザを申請して台湾へ入国することもできなくなりました。そのため、新規投資を検討するための台湾下見は勿論、以前から行ってきた定期的な客先訪問やアフターサービスを実施するための訪台も一切できなくなりました。
もう、台湾を諦めるしかないのか・・・?
あきらめたらそこで試合終了ですよ!
ふっと、安西先生の声が脳を過ってしまいました。
きっと居留証無しでも、何か別のルートで台湾入国を果たせるはず、できる限りの悪あがきをしてみようじゃないか!と奮起し、ついに以下の情報を探し当てました。
日本国内での台湾ビザ申請
今までのように、日本に居る間で先に台湾で就業許可を入手し、ノービザで台湾へ来てから、停留ビザ→居留証を順序よくゲットして居住開始、というパターンは、コロナウイルスの蔓延以降はできなくなりました。代わりに、台湾で先に入手した就業許可を日本へ郵送し、その他もろもろ書類をもって、日本での台湾出先機関である台北駐日経済文化代表処にて特別入国許可と停留ビザの発行申請を行ってから台湾へ入国し、そして移民局へ出向き居留証を入手してから、台湾居住を開始するとの手続きになりました。
一方、台湾が2021年5月に入ってコロナ感染者がいきなり百人規模にエスカレートしたことによって、警戒レベルが第3級に引き上げられたタイミングで、日本で台湾の特別入国許可を入手することができなくなり、新規ビザの発行対象者も、一部の留学生や台湾人の配偶者・未成年子女に限定されることとなって、現在に至りました。
では、既に台湾居留証所持の場合を除き、ビジネス関係での訪台は一切できなくなったかというと、それほど絶望的な状態ではありません。
残された一縷の希望ー特別入国許可の個別申請
先に台湾国内で特別入国許可の個別申請を行い、かつ主務機関及び中央流行疫情指揮センターの審査を通れば、台湾ビザの発行申請が可能となる公文書を入手できます。ビザを日本での台北駐日経済文化代表処で取得し商用目的で台湾入国を果たす、という新たに用意された手続きを行えば、居留証無しでも例外的に台湾への入国が認められる可能性があります。課題になるのは、個別申請を行う資格要件を満たすかどうかです。
台湾経済部が2021年7月に作成した「外国籍ビジネスパーソン入境防疫管理措置」によると、特別入国許可は原則として以下3種類の対象者への限定発行とされています。
- 重要な台湾投資案件を行う者
- 台湾での大口買付を行う者
- ビジネス契約を履行する者
上記いずれかの条件を有すれば、原則として本件の申請者となり得ますが、台湾側に協力先企業の存在が必要とされる点と、当該協力先企業が予め万全な防疫計画書を主務機関に提出できるかどうか、申請者の台湾入国がコロナ感染者の増加につながらないと中央流行疫情指揮センターから許しが得られるかどうかが審査のポイントとなります。
特別入国許可の個別申請-申請条件
経済部は上述の措置にて、特別入国許可の申請条件に関する原則的な方向性を開示しています。
- 本件個別申請に関して、万全な防疫計画書を作成すること
- 訪台目的に必要性、緊迫性、代替不可性を有すること
- 台湾の経済・国全体の利益に重要な貢献ができること
- 少人数での短期滞在、団体で出入国等の原則を遵守すること
特別入国許可の個別申請-要協力事項
個別申請を行い審査が通ったら、これでスムーズに台湾へ入国し自由に滞在期間を過ごせるかというと、以下比較的厳しい、要協力事項を守らなければならないとされています。
- 渡航3日内のPCR陰性診断書の提出
- 台湾入国後の実費PCR検査
- 「入境検疫システム」で必須情報を申告のうえ台湾の携帯番号を使用すること
- 「重点ハイリスク国」からの入境者を除き、台湾に入ってから防疫ホテル又は実費で集中検疫所に泊まること
- 専用トイレを使用し、仕切り板で食事をすること
- 防疫計画書や誓約書、スケジュール表、招聘状、移動経路図などの書類を提出すること
- チャーター便、又はその他旅客と明確に区別できる席が用意される航空機で渡航すること。
- 指定を受けた担当者及び主務機関からの係員がフルで同行すること
- 付き添い医師又はリアルタイムで相談できる医師が居ること
- その他中央流行疫情指揮センターが要求する防疫措置を遵守すること
特別入国許可の個別申請-申請手続
個別申請を行うためには、予め入国者名簿、訪台スケジュール表、防疫契約書と誓約書、移動経路図、招聘状、ビジネス活動を証明できる書類、必要性や緊迫性等についての説明書類を添えて主務機関へ提出する必要があります。要留意なのは、訪台目的の違いによって、申請先が台湾の投資処であったり、工業局であったり、貿易局であったりするという、正しい政府機関に手続きをしなければならない点です。
必要書類が主務機関へ提出されたら、審査担当官は、申請案件における必要性、緊迫性、代替不可性、台湾の経済・国益への貢献度といった側面をもって一次審査を行い、基準を満たしたと判断する場合は案件を指揮センターに回し、そこから二次審査が始まります。もし指揮センターでの二次審査も通ったら、審査結果通知書が申請者に送付され、当該書類を台北駐日経済文化代表処に提示し、別途労働部から入手できる就業許可その他もろもろビザ申請に必要とされる書類を提出すれば、晴れて台湾入国できます。
留意事項
特別入国許可の個別申請は一見、基準がはっきりとしていて、手続も簡単そうに感じ取られやすいかもしれませんが、何をもって重要な投資案件と言えるか、金額がどれぐらいに達したら大口買付案件と見なされるか、ビジネス契約であれば内容とか契約金額とか関係なく申請できるか等、肝心なところは本件申請の管理措置には全く開示されていません。申請者にとって社内では非常に重要視される投資案件であり、かつ金額的にもそこそこ大きいと認識しているにもかかわらず、当該認識が当局の担当官に持ってもらえる確証はどこにもありません。当局の担当窓口へのヒアリングベースでの確認では、数百万新台湾ドル規模の投資案件だと金額的には少々足りない可能性があるとの説明を受けまして、さらに一歩踏み込んで聞いてみると、とにかく申請してみて、総合的な観点をもってケースバイケースで許可不許可の認定を行う、という風な回答が出されました。
終わりに
総じていうと、こちらの個別申請制度は、あくまでも外国人入国審査における例外的措置との位置づけであり、自己査定でオールグリーンと判断していても、当局へ申請してみたら、台湾経済への貢献は顕著でないため、コロナウイルス感染防止の観点で特別入国を許可しがたい、といったはっきりとせず、大人の事情っぽい理由で申請拒否されてしまう可能性は十分に考えられます。かといって、ずっと手をこまねいて、ビザの通常申請の再開又はノービザ入国の緩和を待つより、きちんと所定資料を揃うことができれば、一度試してみるのも良いかもしれません。
たしかに、経済振興につながる人的往来をいきなり再開してしまうと、コロナウイルス感染拡大のトリガーとなりかねないため、タイミングを見計らって、諸々条件をつけたうえ段階的に緩和することが望ましいです。台湾ではこの間感染者ゼロが続いて、防疫対策では好成果を上げていますが、いざ今までのような外国人ビザ申請制度を復活させてしまうと、万が一今年5月のような、収拾がつかないクラスター感染になってしまったら、との雰囲気が漂うなか、何時、どういう風にビザ申請に関する緩和措置を導入するかについての言及が憚れるのであろうとの現状です。来年2月までに発表される予定の3回目のワクチン接種に伴って、外国人のビザ申請に関する朗報がリリースされることに期待を寄せつつ、引き続き防疫生活に専念します。
Attention!
※本稿は2021年12月8日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。