18日、国民投票の日は出勤NGだっけ?
12月18日、今週土曜日は国民投票の日というのはご存じでしょうか?月~金出勤の会社さんは、土曜日は大体所定休日なので、国民投票の日が帯びる特殊な性質に気が付かないかもしれません。
”もし所定休日に該当する今週土曜日に、当社では急な要対応事項が生じて、一部の従業員に出勤させる必要性が出てきた場合、台湾の労働法に定めた所定休日に関するルールを従えばよいでしょう。”
という風に安易に考えてしまうと、思わぬ落とし穴にはまって、違法リスクにさらされてしまう形となりかねません。なるべくリスク事項を未然に防げたらとの観点で、以下、国民投票の日に潜む隠しルールについて軽く考察してみようと思います。
国民投票の日は祝日扱い!?
台湾労働部が2018年11月8日に出した公告、労働条3字第1070131460号の内容によると、総統副総統選挙及び罷免の日、公職を選出・罷免する選挙日、国民投票の日は、労基法第37条第1項に定めのあった、その他主務機関の指定を受けた休日であるとされています。
「出勤不要な休みの日」、という点においては、国民投票の日と祝日が共通しています。ただし、中秋節や国慶節等の祝日はもし土曜日曜と重なったら、従業員は別途1日休暇がもらえるのに対して、国民投票が行われる18日が土曜日であるにもかかわらず、月~金出勤を採択する会社さんの場合は、別途1日の休暇を従業員にあげる必要がない、との点においては、国民投票の日と祝日とでは異なります。
落とし罠に要注意
“うちは残業無しの三交代です。深夜勤は午前8時で退勤となり、8時~16時で行われる18日の国民投票とは時間的に全く重なっていないから、何も影響ないでしょう?”
という風に解釈されがちかもしれません。
実際、台湾労働法上の「休日」という概念は、午前0時から午後24時までの24時間のスパンを指しており、時計の針が18日の午前0時に差した時点から、休日の始まりとなります。従って、夜勤シフトがもし18日の午前0時以降の時間帯を食い込んでしまったら、その分「休日出勤」として取り扱わなければなりません。
そのほか、国民投票は18日でしか行えないため、通常の休日と同じく、ほかの出勤日と入れ替えることで、振替出勤日として従業員を18日に出勤させてはいけないともされています。
超過勤務手当の支払い義務
会社側にやむを得ない事情があって、18日の投票日にどうしても一部の従業員に出勤させなければならない場合においては、対象従業員の投票権を最大限に尊重する前提で出勤についての同意を得て、かつ超過勤務手当もしっかりと支払ってあげれば、投票日であっても出勤命令を出すことができます。
超過勤務手当のお支払いは以下のイメージとなります。
- 国民投票の日(土曜日)は会社ルール上、もともと通常出勤日である場合
出勤した実時間に対象従業員の時間単価を乗じて計算した額を、超過勤務手当として対象従業員に支払う必要があります。例えば、出勤時間が18日の午前0時~8時の深夜勤であったら(休憩時間無しと仮定)、その間投票はまだ始まっていないため、8時間分の超過勤務手当を支払う必要があるとされています。一方、出勤時間が18日の午前8時から午後4時のシフトで(休憩時間無しと仮定)、間の2時間で投票のため出勤せず、実出勤時間が6時間であった場合には、6時間分の超過勤務手当を支払えば十分とされています。 - 国民投票の日(土曜日)は会社ルール上、もともと所定休日である場合
月曜~金曜出勤で、交代シフトを導入していない会社さんは、従業員の同意を得て18日に出勤させようとしたら、国民投票がないときと一緒で、所定休日出勤の場合における割増賃金、つまり2時間内だと時間単価×4/3、2時間超では時間単価×5/3との計算で、支払うべき超過勤務手当を算出し、対象従業員へ支払う必要があるとされています。
罰則
労基法の定めに反し、18日を休日にすることなく、なおかつ超過勤務手当も従業員に支払っていなければ、行政からのペナルティとして2万~100万新台湾ドルがかかるほか、超過勤務手当を追加で対象となる従業員へ支払わなければなりません。
今回の国民投票のみならず、来年末に行われる地方自治体の県市長選挙に備え、こちらのルールを心の片隅に置いておきましょう。
Attention!
※本稿は2021年12月16日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。