有給休暇を取得中に、お客様から電話があったら出勤となるか?
マサヒロ解説:
有給休暇を取っている従業員に、お客様から電話があって、当該従業員がそれに出てしまったら、電話対応の時間は出勤扱いになるかと言いますと、業務連絡以外の日常会話レベルの応酬といった特別な状況を除き、原則出勤時間としてカウントしなければなりません。
有給取得時の出勤に対しての賃金支払いルールについても見てみましょう。従業員の同意を得て、有給休暇中に、自宅でお客様への電話対応を含めた出勤をさせた場合は、1日の出勤時間が通算8時間内であれば、原則として8時間分の賃金を会社に支払う必要があります(行政院労工委員会87年8月31日台87労働2字第037426号解釈通達)。一方、天災事変など予期し得ない特殊な状況が発生した場合は、従業員の同意を得ずに、会社は有給時の出勤を一方的に命じることができます。ただし、上記同様、1日の出勤時間が通算8時間内の出勤に対しては8時間分の賃金を支払う必要があるほか、別途1日分の休暇を与えたうえ、事後24時間内に事実関係を詳しく文書化にして当局に対して届け出を行わなければならないといった法定義務も会社側に与えられており、コスト的には大変重たいのです。(労働基準法第40条)
関連ルールが非常にガチガチなので、たとえ必要な作業は2時間で片付けられるのにもかかわらず、どうせ8時間分の賃金を支払うから、オフィスの清掃とか、倉庫のファイル整理等をやってもいい、とにかく8時間フルで会社で雑務をこなしてくれ、という風に、意味のない労働時間を従業員に強要したりするやけくそになった台湾の事業者さんも出てきました。従業員の待遇改善が前提な法律設定なのに、よもやこういった悪影響をもたらしてしまうとは、法改正の当初ではおそらく考えもしなかったでしょうね。
一方、有給時の出勤で発生する賃金コストを抑える方法もあります。例えば、予め自社内で、労使会議等の決議を経て、有給休暇の最小取得単位を半日、又は1時間等にします。その場合、半日(4時間)の有給休暇を取得中の従業員に、お客様への電話対応等3.5時間の出勤をさせたとき、4時間分の賃金を支払っても労基法の違反にはなりません(労働部 労働条2字第1050130162号解釈通達)。この対策の一番重要なポイントは、有給休暇の最小取得単位の変更について、事前にきちんと従業員からの了承を得ることとなり、会社が一方的に変えたりすることができませんので、ご留意が必要です。
Attention!
※こちらの文章は2021年6月18日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。
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