休日(土曜日または日曜日)にお客様からの電話に対応した場合、賃金計算はどうすれば良いか?

マサヒロ解説:

休日におけるお客様への電話対応は出勤扱いになるかについては、電話対応の内容によって個別認定を行う必要があります。

例えば、お客様からの電話は、単に世間話など、個人対個人レベルの交流であれば、出勤とはなりません。電話対応にかかった時間は出勤扱いになるか、出勤扱いになった場合での残業代の計算根拠をどうやって入手するかというと、対象従業員に自らの携帯から通話時間に関する記録をアウトプットして、会話内容について報告書をまとめて提出してもらうことが、こういったケースにおける勤怠管理の方法です。このような方法を正式に自社に導入し、従業員のみなさんに徹底的に周知させることができたら、通話時間記録のアウトプットや報告書の作成でかかる手間を考え、事実より多くの残業時間を申告したり、架空申告したりすることをやめよう!という風に、もともとそういった悪だくみをする傾向がある従業員も少し減るかもしれません。

電話対応の内容が実質、自らの担当業務と紐づけできるようであれば、近年労務裁判の判例では、たとえ1分間のみの役務提供であっても無償であるわけではないので、会社はきちんとその対価を支払わなければならないとの見解が取られています。従って、従業員から通話時間の記録や報告書の提出があった残業申請を、月次ベースで集計し、分単位で残業代を計算したうえ、翌月の給与支払い日にて一括に支払いを行う、というのはコンプライアンス的には一番無難でしょう。

ちなみに、週休二日制をとる台湾企業は、大体土曜日を所定休日、日曜日を法定休日にしています。その場合、土曜日に発生した実質の電話対応時間に応じて、割増残業代を支払えば法的には問題ありませんが、法定休日に該当する日曜日は、天災事変や緊急を要する事態が突然に起きた等の不可抗力が生じない限り、原則として従業員に出勤を命じることができません。やむを得ない事情で、従業員に法定休日の出勤を命じた場合は、出勤時間が8時間内であれば、8時間分の賃金の支払い、別途1日の代休、及び24時間内での当局への届け出が義務付けられるほか、不可抗力によるものではないため、労働局からもペナルティが課せられてしまいます。

対処法としましては、随時お客様への電話対応を必要とされる従業員を2グループに分けて、グループ1の法定休日を日曜日にし、グループ2の法定休日を土曜日にするうえ、代わりばんこで電話対応してもらうやり方が考えられます。こちらのスキームを実施する前提は、例えばお客様に対しては、営業時間外での連絡は会社が別途設けた2本のホットラインに行うよう周知し(土曜にそのうちの1本で、日曜に他方の1本)、ホットラインが割り振られた2個の携帯を上記2グループの従業員にそれぞれ持たせる形で、電話対応させていくことができるかどうかによります。

台湾の労基法が非常にガチガチで、諸法律の中でも比較的に融通の利かない部類となっています。少しでも強制規定を踏み外してしまったら、すぐ容赦なくペナルティが降りかかってきますので、腫れ物に触れるような姿勢で付き合っていくことが望ましいでしょう。にもかかわらず、同法の施行細則、解釈通達、又は裁判所の類似判例を総合的に参考し、法に触れないギリギリラインで、自社の実状に応じてのカスタマイズ対応は可能となっていますので、労基法に精通する専門家としっかり連携をとって、労使WinWinの方向に持ってまいりましょう!

Attention!

※こちらの文章は2021年6月19日までの法規定をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。本稿についての最新情報をアップデートしようとする場合は、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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