社用車で交通違反したら反則金が3倍になる?!改正後の交通違反罰金制度にはご用心!

社用車で交通違反したら反則金が3倍になる?!改正後の交通違反罰金制度にはご用心!

この間知人から以下の相談を受けました。

先日ウインカーを出さずに車線変更したところ、後ろの車両のドラレコに撮られ、反則金1,200NTDの納付書がうちに届いた。仕方なくコンビニで支払おうと思ったら、結局訳が分からないまま2,400NTDが取られてしまった。1,200NTDと書いたのに何故?

交通違反の反則金は、通常納付書の額面通りに支払えばよくて、期限後納付であっても、遅延金込みで多くで額面1.5倍ぐらいで済みます。しかし、上記の相談例は別に期限外納付というわけでもないのに、どうして2倍の反則金を支払わなければならないのかというと、納付書の記載間違いでもなければ、コンビニの機器が壊れたりするのでもなく、原因は、2023年6月30日に施行した改正道路交通管理処罰条例にあります

同改正条例においては、交通違反して、かつ〇〇であれば、支払うべき反則金は通常の2~3倍に吊り上げられる、というエグイルールが追加されました。気になる「〇〇」とは何なのか、反則金の倍増を避ける方策あるか、「改正道路交通管理処罰条例」にほかに注意すべき点などあるか、に対して以下解説します!

台湾は日本と同じように、交通違反すると、所定の違反点数が加点され、累積した点数が一定基準に達したら、免許停止(免停)や免許取り消しの行政処分が下ります。2023年6月30日前までは、違反点数の累積期間が6ヶ月とされていたため、たとえ免停を食らう一歩手前の点数をつけられても、長くて6ヶ月間おとなしくすれば、点数がリセットされます。

しかし、6ヶ月という生ぬるい期間を設けていても、交通事情が一向によくなる兆しを見せておらず、「歩行者の生き地獄」という汚名をいつまで経っても返上する見込みはないと認識した台湾当局は、「点数制度の規制強化」に乗り出し、6/30から以下のルールをリリースしました。

交通違反で付けられる点数の累積期間を1年とし、1年の間に12点を加点されたら免停2ヶ月になり、2年以内に2回の免停処分が下ってなお加点されると、免許取り消しになる。

上記の罰則規定に対して、以下ささやかな救済措置も用意されています。

救済措置

1年以内の違反点数が6点に達した運転者は、自ら関連費用を負担して交通安全講習を受けたら、そのうちの2点が消えるが、講習を受けられる回数は年1回を上限とする。

上記の講習制度を利用すれば、年間最大13点を付けられても免停にはならない計算となります。ただし、交通違反があった場合、所定の点数が付けられるほか、数千から数万NTDの反則金を支払う義務が伴うため、できるだけ1点たりとも付けられないよう注意しておくことがベストですね。

改正後の交通違反点数制度

ゲームマスターでない限り、数十年間運転し続けて1点も付けられない運転者がいるとはちょっと考えられません。加点されることは避けられない以上、最低限免停・免許取り消しにならない努力をしなければなりません。そうすると、必然的に「何をどうしたら加点が一番激しいのか」を把握しておくことが重要です。

「キキキーッ」…「ドーン」!台湾で交通事故に遭ったときの留意点8選

交通事情がいきなり改善される可能性が低いである以上、安全運転に気を付けながら、いざという時にどういった対応を取ったらよいのかについて、関連法律をもとに、Q&A形…

台湾においては、交通違反の情状によって1~3点が付けられるため、一度に3点が付けられたらダメージが一番ひどいです。「年間12点をゲットしたら免停となる」ことを考慮すれば、4回の違反で2ヶ月の間に車やバイクを触ってはいけなくある計算です。3点を加点される反則行為を以下例示しておきます。

3点増の反則行為

  • 信号無視(赤色)
  • 歩行者等妨害等
  • 妨害運転
  • 速度超過(40以上)
  • 消音器不備
  • 本線車道通行車妨害
  • 急ブレーキ禁止違反
  • 負傷事故
  • 路面電車が通る道の信号無視

なお、営業用車両の運転者に積載方法制限超過、乗車積載方法違反、高速自動車国道等運転者遵守事項違反などがあった場合には、所定の点数に1点のおまけが追加されることも留意が必要です。

点数マスターに俺がなる!

交通取り締まりやネズミ捕りなどで、交通違反した運転者がその場で警察によって停止され、違反切符を切られた場合には、運転した人ははっきりしているため、通常とおり違反点数をつけたらよいだが、固定式または可搬式のオービスで速度違反などの画像データが取られた場合、運転者を特定できないケースがほとんどなので、今までは加点無しで、反則金の納付書のみ送られる形となっていました。

一方、6/30から施行した改正処罰条例では、運転者を特定しにくいケースなら加点なしというバグが修正され、違反点数は直接車両の所有者に加点されるようになりました。もし所有する車両の台数が多く、かつ運転スタイルが乱暴な知り合いに貸し出す習慣のある人であれば、たとえほとんど運転していなくても、あっという間に12点が付けられ、いきなり免停を食らう可能性があります。

なお、もし車両の所有者には運転免許証を持っておらず、違反点数を加点しようがない場合には、車両に対して違反記録が作成され、そして1年に作成された違反記録が3回に達したら、2カ月間の車両使用停止処分が下り、ナンバープレートはしばらくの間没収されてしまうため、気を付けなければなりません(道路交通管理処罰条例第63-2条)。

違反点数が付けられない場合

車両の所有者は個人ではなく、法人が所有する場合には、運転免許証を持っていない個人と同じ違反点数が付けられないため、車両に対する違反記録が作成されます。そして年に3回の記録があったら、車両使用停止処分は容赦なく下されます。

ただし、車両の所有者は自動車のリース事業に従事する法人となれば、話がややこしくなります。まず、車両を所有するのは法人なので、違反点数が追加される代わりに、車両そのものに違反記録が作成されます。しかし、交通違反したのはリース会社ではなく、「リース先の会社」であるため、車両に違反記録を作成すると、損失を被ったのは車両の所有者であるリース会社で、実際の利用者であるリース先会社は何ら罰を受けない、というバグが生じたわけです。

運転したのは社員でもないのに、何故当社は賠償しなければならないのか?―「社用車の交通事故における会社の連帯責任」

社用車を外部の第三者へ貸し出すにあたり、不幸にも貸出期間中に交通事故が発生したら、貸す側である会社にどういった法的責任が問われるか、それを回避する方策等ないか…

幸いなことに、6/30に施行した改正ルールには上記のバグが修正されました。同ルールによると、交通違反したのは違反点数が付けられない法人で、かつ当該法人には対象車両を所有するわけでもない、例えばリース先会社のような場合、車両への違反記録は作成されず、実質車両を使用するリース先会社に対して課す反則金は通常の2~3倍に引き上げられるという(道路交通管理処罰条例第63-2条)、金銭的ダメージを大きくする作戦が取られています。

反則金を納付期限60日過ぎて納付しても、せいぜい1.5倍弱に膨らむ設定を考えたら、この「車両をリースする会社」を対象とする反則金倍増ルールのえぐさが分かりましょう。ですので、カーリースで社用車を借りるなら、この新しい反則金制度を意識しながら、今まで以上に気を付け運転を徹底することが望ましいと思われます。

社用車で交通違反したら反則金が3倍になる?!

交通違反したのは車を借りる人なのに、何故貸すほうが加点されなければならないのか?

カーリースを利用するだけなのに、反則金が2倍も3倍も吊り上げられるのは不公平極まりない!

6/30に施行した改正処罰条例は、今まで見え隠れするいくつかの法的不備を補正したのと同時に、上記の不平不満も作っているようだが、実際、今回の法改正にはこういった不平不満を無くす方法も用意されています。それが、「帰責申請制度」です。

「帰責申請制度」というのは、赤い違反切符が行政より送られてきたとき、もし告知を受けたのは当該交通違反をする人でなければ、所定のエビデンス資料を行政に提出のうえ、実際の運転者に「帰責する」ことは可能となる制度です。そうすると、運転していないけど、車両の所有者であるだけに反則金を納付する義務が発生したり、訳の分からないまま免停を受けたりする問題がなくなります。

また、社用車を所有する会社は前述の帰責申請制度を利用すれば、交通違反した社員に違反点数が加点されるため、会社に車両使用停止処分が下される心配もないし、カーリースを利用する会社も、それによって反則金が2~3倍にされるリスクもなくなります

帰責申請制度には、窓口申請、郵送申請、及びオンライン申請などの方法が利用可能であり、行列に並ぶ時間と郵送時間を節約する観点で、オンライン申請が一番おすすめだが、オンラインで申請できるのは台湾の国籍を有する運転者のみで、運転者が外国人の場合はその他方法で申請しなければならない、という制限があった点は留意が必要です。

帰責申請制度を活用すべき!

またもや通勤途中で交通事故による渋滞に巻き込まれた…

横断歩道を渡る間に急接近する車にビックリして転倒しそうになった…

台湾の交通事情について語り始めたら、こういった事故やマナーに関する話題がよく持ち上がるように、解決すべき課題が山積みである状態が存在して久しいです。それらを少しずつ解決していこうとする試みとして、政府は関連法律を厳罰化したり、民間通報制度を復活させたりするほか、民間発の改善運動も今までにない活発ぶりを見せています。6/30に施行した新しい点数制度の影響で、交通事情にどれだけプラス効果をもたらしてくれるかを注目に値する一方、反則金が倍増にならないよう帰責申請制度の存在を忘れずに活用することが推奨されます。

マサレポ、今週の学び

  • 年間違反点数を12点加点されたら免停2ヶ月、2年以内に2回の免停処分が下ってなお加点されると、免許取り消しになります。
  • 違反点数が6点に達したら、自腹で講習を受けたら2点が消えるが、利用可能な回数は年1回とされます。
  • オービスで取り締まられる場合、運転者でない車両の所有者が加点され、所有者が会社の場合、車両に対する違反記録が作成され、カーリースを利用する会社なら反則金が2~3倍に増額されます。
  • 帰責申請制度を利用すれば、違反点数は実質の運転者に加点されるため、上記の問題点が解消されます。

ATTENTION!

※本マサレポは2023年11月28日までの法律や司法見解をもとに作成したものであり、ご覧いただくタイミングによって、細かい規定に若干法改正がなされる可能性がございますので、予めご了承くださいませ。気になる点がおありでしたら、直接マサヒロへお問合せいただきますようお勧めいたします。

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